日本におけるチリワインとアルゼンチンワインの明暗!
日本におけるチリワインとアルゼンチンワインの明暗!
南米のワインといえば誰もがチリワインとアルゼンチンワインと答えると思います。この2カ国のワインが日本で広まった過去と現在を見るとその変化に驚きがあります。
2018年における世界のワイン生産国としては、アルゼンチンが5位でチリが7位になっています。アルゼンチンは従来から5位でしたが、チリは毎年順位を上げています。歴史を見ると両国とも16世紀半ばにスペインの征服者達がブドウの苗木を持ち込んで栽培したのが始まりとされています。そして、その時のブドウはパイスといい、特にチリでは原点と言われる品種でした。その後19世紀後半に両国ともワインの大規模生産が開始されたので、本格的なワインの歴史は18世紀後半といってもいいのではないでしょうか?そして、1990年以降に世界でも大躍進を遂げています。
アルゼンチンの代表品種は「黒ワイン」とも称されるボルドー原産で赤ワインのマルベックと白ワインのトロンテスです。特にマルベックには曰くがあります。ボルドー地方ではより貴族的な味わいと評されるメルロを主役として選択したため、個性の強いマルベックはメルロに追われてアルゼンチンに行ったという説があります。一方、アメリカでマルベックへの人気が高まり、一時期オーストラリアからシラーのワイン輸出が激減したと言われています。(画像はマルベック)
一方にチリも、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、リースリングなど、現在もチリのワイン造りを支える主要な品種が、この時期に持ち込まれた苗木を祖先としています。特筆すべきは、ヨーロッパを襲ったフィロキセラの存在です。19世紀半ばにヨーロッパの産地を襲ったフィロキセラはブドウの木の根を傷めるアブラムシの一種で、ヨーロッパ系の品種はこの害虫に全く耐性が無かったため、フランスを含め当時のヨーロッパの主要ワイン産地はほぼ全滅という状況にまで追い込まれてしまったのです。自国で職を失ったフランスのワイン醸造の専門家の多くが、主要品種を携えてチリに渡って行ったのです。チリは地形的に害虫の侵入を受けにくく、現在に至るまでフィロキセラの被害に遭っていない世界における唯一の国です。フィロキセラに侵されたヨーロッパは、耐性のあるアメリカ系品種の台木にヨーロッパ系品種を接木するという方法で再生しましたが、フィロキセラ以前に苗木が持ち込まれたチリでは、今でもヨーロッパ系品種のブドウが自根で栽培されているそうです。
日本との関係に目を向けると、今から30~40年程前は日本でワイン栽培がそれほど活発でなかった為、大量のバルクワイン(150リットル以上のコンテナで輸送するワイン)を輸入し、ごく少量の日本ワインを加えたりしてワインを製造販売していました。その時代にバルクワインの3大輸出国の一つがアルゼンチンだったのです。(他の2つはユーゴスラビアとスペインでした)。ところが、2007年9月に日本とチリ二国間の「日本チリ経済連携協定」が発効されると
状況は様変わりし始めました。チリワインの関税が12年かけて段階的に削減され、2019年4月に完全撤廃されたのです。この12年間で、チリワインの輸入量は約5倍に拡大し、昨年も日本の輸入ワインはチリが1位の座を獲得しています。欧州ワインもEPAにより今年の2月にワインの関税が撤廃された為、輸入が増加しています。チリワインが安価で人気を集める一方、高級ワインで定評のあるフランスが日本向け輸出額で100億円の増額を果たし、輸入金額では1位の座をしっかり確保しているのです。このようなにEPAの影響により、アルゼンチンは8位~9位に後退してしまいました。昨年末に合意した11カ国のTPAの影響で今後オーストラリアとニュージーランドのワインも輸入の増加が見込まれます。日本というワイン消費の巨大市場を失わないために、アルゼンチンも早く日本とEPA締結に取り組んでは如何でしょうか?そうすれば、アルゼンチンの外貨獲得は増え、一方、我々もマルベックやトロンテスを安価で美味しく味わえるので、ウィン・ウィンの関係が築けると思います!
カカオの話!
カカオの話!
高カカオチョコレートの効果・効能が注目されていますが、カカオそのものも面白いストーリーがあります。いくつか紹介しましょう!
① 原産地:
中央アメリカから南アメリカの熱帯地域です。欧州では栽培出来ません。日本でも沖縄や小笠原諸島だけです。
② 果実:
カカオポッドと呼ばれ長さが15~30センチ、直径8~10センチで幹から直接ぶら下がっています。
③ 種子:
これがカカオ豆と呼ばれ、40~50%の脂肪分が含まれます。
④ 種類:
フォラステロ種
南米のアマゾン川、オリノコ川源流地域原産ですが、現在は西アフリカと東南アジアが主な生産地です。皆さんが知っているガーナチョコなどの原料です。
クリオロ種
ベネズエラやメキシコでわずかに生産されていますが、一般にはほとんど出回っていません。
トリニタリオ種
フォラステロ種とクリオロ種を交配したハイブリッド種で、トリニダード島で育種に成功したことから命名されました。栽培が容易で品質も優れています。
⑤ 歴史:
原産地のメソアメリカでは紀元前1900年頃から利用されていましたが、欧州では誰も知りませんでした。最初にスペインに持ち帰ったのは1502年のコロンブスでしたが、その時は利用法がわからず持ち帰っただけでした。利用法を知ったのは1519年でした。コンキスタドールのエルナン・コルテスがアステカで初めて知り、砂糖や香料を加えたチョコレートが上層階級に歓迎されたのです。しかし、高カカオチョコレートの効果・効能については知るよしもありません。効果・効能についての研究は20世紀になってから急速に進展したのです。
⑥ 生産量:
世界の生産量は約460万トンです。上位国は次の通りです。
コートジボアール 200万トン
ガーナ 88万トン
インドネシア 26万トン
エクアドル 26万トン
ナイジェリア 24万トン
カメルーン 24万トン
ブラジル 17万トン
ペルー 12万トン
⑦ 食用:
カカオマス:
胚乳部分を粉砕・焙煎してすりつぶしたものです。これがココアとチョコレートの原料になります。
ココアバター:
カカオマスに含まれる約55%の脂肪分を分離したものです。
ココアパウダー:
カカオマスを脱脂してさらに粉砕したものです。カカオ豆300個から約1kgだけ取れます。
高カカオチョコレート:
チョコレートはカカオマスに砂糖やミルクなどを加えて作られますが、カカオマスが70%以上含まれているチョコレートです。
⑧ 効果・効能の追加:
高カカオチョコレートの効果・効能については、2019年4月21日に掲載した「食の世界」のブログで11の効果・効能を紹介していますが、少し追加しておきます。
冷え性の改善:
テオブロミンが血行をよくすることは既に紹介していますが、血行が良くなることで冷え性が改善します。暖かいココアを飲むとお茶などの暖かい飲み物より遙かに保温効果があるそうです。
お口のケア効果:
カカオポリフェノールが持つ抗菌作用によって、口臭の原因であるフソバクテリウムを抑制し、さらに虫歯や歯周病を防いでくれます。
創傷に効果:
カカオに含まれる亜鉛などの豊富なミネラルが傷の周りにある細胞の分裂を促進します。さらに、テオブロミンの血管拡張作用や、ポリフェノールなどの相乗効果によって、傷の治りが良くなるそうです。
サンマはどこにいるのだろうか?
サンマはどこにいるのだろうか?
9月の魚と言えばサンマで、誰もがスーパーに買いに行きますが、今年は数が少なく小さいものばかりでしかも値段が高いです。昨年はサンマの刺身を出していたお寿司屋さんでも、今年はメニューに入っていません。メディア情報では中国が取り過ぎて日本まで回遊してこないらしいですが、中国人が突然サンマを食べ始めるわけでもなさそうなので、どうも情報の信頼性に乏しさを感じます。そこで、本当はどうなのか調べてみました。
① まず知っておかなければいけないのは、サンマの漁獲量は減少傾向にあることを認識して、国際的に漁獲量を制限していく必要性があることです。今年の7月に北太平洋漁業委員会で加盟国のサンマ漁獲量の総量を55万トンにすることで合意しました。55万トンはこれまで2度しか達したことがない量なので、数字としてはあまり意味がないのですが、そのような合意が出来て、今後総量を減らす可能性が出てきたことは意味があります。
② サンマは日本近海で生息する魚ではありません。太平洋のハワイの北辺りに住んでいます。サンマは卵を産むために秋頃に南へ回遊するのですが、その群れの一部が日本の近辺を通ります。その時期にしか日本の漁場を訪れないので、サンマは秋にしか獲れないのです。
③ さすが日本だと思いますが、2003年から国立研究開発法人 水産研究・教育機構が水産庁の委託を受けて、毎年6~7月に調査船を出しています。サンマの回遊ルートを遡り、どれぐらいのサンマが日本へ向かって来るか、太平洋を横切ってハワイよりも東の方まで行って調べています。調査ルートが、日本に近い方から1区、2区、3区に分けられていて、1区にいるサンマは8月後半から9月頃に、2区は10月以降に日本に来遊し、漁獲されると予想されています。今年の調査結果では、1区のサンマの分布量は0に近い値でした。だから今の時点で不漁だと騒ぎますが、データを見れば当たり前ということのようです。そして、今年は2区には1歳魚のサンマがいるので、サイズの比較的大きいサンマが10万トンほど獲れるのではと予測されています。
④ 日本近海に回遊してくるサンマは毎年4~500万トンらしいですが、漁獲しているのはそのうち30~40万トン程度です。その中で一番多く獲っているのが日本で25万トン程です。その次は韓国、ロシア、台湾ですが、何れの国も4万トンに達していません。中国は2012年以降に少しずつ漁獲していますが、現状では微々たるものです。人口が多いので、メディアが誇張した報道をしていますが、真実の報道をしてほしいものです。
⑤ サンマについてはもう一つ課題があります。一般的にサンマは安くて美味しい魚の印象が強いのではないでしょうか?今年のように、現時点で漁獲量は減り、店頭価格が上がると魅力が薄れるかも知れません。しかし、美味しさは変わらないのでやはり食べたいと思います。豊漁の時は問題にならないのですが、漁獲量が減ると、一番生活に影響が出てくるのは漁師さん達です。彼らがサンマ漁離れをすると、我々はサンマを食べることが出来なくなるのです。従い、漁獲量が減ったときは、喜んで高いサンマを食する様な習慣をつけたいと思いますが、如何でしょうか?
ご当地麺総選挙・1位は札幌ラーメン!
当地麺総選挙・1位は札幌ラーメン!
昨晩TVで「食のプロ318人が選ぶご当地麺総選挙」というのが放映されていて、後半を偶然見ることが出来ました。ランキングは次の通りです。
1位:札幌ラーメン
2位:讃岐うどん
3位:博多ラーメン
4位:長崎チャンポン
5位:喜多方ラーメン
6位:信州そば
7位:沖縄そば
8位:盛岡冷麺
9位:博多うどん
10位:旭川ラーメン
個人的にはこれらのランキングに同意出来ない部分がありますが、1位と2位については少し詳しくコメントされていて興味深かったので掲載しておきます。
1位の札幌ラーメンですが、製麺所は西山製麺が圧倒的に支持されているそうです。ラーメン店としては「さっぽろ純連」が最も有名だそうです。
次は「すみれ」でここは「純すみれ系」と称し全国各地に広がっているそうです。現在一番注目されているのは「雨はやさしく」という変わった名前のお店です。この店の特徴は鳥のレバーペーストが入っていて、そのペーストと味噌汁を合わせると深みのある味に変わり、汁を全て飲んでしまうそうです。
2位は博多ラーメンを押さえて讃岐うどんになりました。中でも4店舗が特に有名だそうです。最初に紹介されたのは「山越うどん」です。補聴器のやまだのヤマダ社長に何度も連れて行ってもらったお店で「釜玉」の発祥店です。2店目は「日の出製麺」で冷たいうどんが有名だそうです。3店目は「山下うどん」で「ぶっかけ」の発祥店です。4店目は「よしや」で「かけうどん」の発祥店です。
山椒の効能!
山椒の効能!
ウナギの蒲焼き、麻婆豆腐などに欠かせない薬味の山椒はミカン科サンショウ属に分類される落葉低木です。昔はハジカミ(椒)と呼ばれていましたが、生姜にその名前を取られてしまい、山で採れるハジカミと言うことで山椒になったそうです。日本各地で栽培されていて、京都の朝倉山椒、兵庫の有馬山椒、和歌山のブドウ山椒などが有名です。生産的には和歌山県が全体の約50%を生産し、奈良や岐阜が続いています。
独特の匂いや辛みがあって重宝する薬味です。
主に食物繊維、カルシウム、タンパク質、カロチン、脂肪、ビタミンB1、B2、E、炭水化物、灰分、マグネシウム、鉄、マンガンなどが含まれています。又、注目の成分としては、サンショオールやシトロネラール、ジペンテン、フェランドレン、ゲラニオール、リモネンがあります。
効能は次のようなことがありますが、摂り過ぎはあまり良くないようなので注意しましょう!
① ひび割れ、しもやけに治療効果
② 胃もたれ解消効果
③ 食欲増進に有効
④ 神経痛に効果
⑤ 虫下し効果
⑥ 喘息抑制
⑦ さらに、不整脈、狭心症、消火器系統の病気の治療にも役立つことが確認されているそうです。
黄金ガニ!
黄金ガニ!
9月はカニの水揚げシーズン開幕です!
兵庫県香美町の香住漁港西港でも、水揚げされるベニズワイガニの競りが9月4日朝から始まりました。4日には過去最高となる10万円で1匹のベニズワイガニが競り落とされましたが、5日には黄金ガニが水揚げされ、なんと30万円で競り落とされました。
黄金ガニは山陰沖の水深千メートル前後で、褐色のズワイガニ雄と紅色のベニズワイガニ雌が交配することで生まれる個体で、見た目は明るい赤色です。
数千~数万匹に1匹程度しか水揚げされない希少種で、ズワイガニのうま味とベニズワイガニの甘みを兼ね備えた味は絶品だそうです。
価格が高すぎて食べることは無理なようですが、せめて、夢の中で食べてみることにしますか?
便秘になりにくい食材!
便秘になりにくい食材!
便秘になると身体が重く感じます。日々摂ることで便秘になりにくい食材があるそうです。中には有名なものもありますが、いろいろトライしてみては如何でしょうか?
① オートミール:
植物繊維の王様で、精白していない穀物、豆類、玄米やオート麦がお薦め
です。
② ショウガ:
抗炎症作用があるので、スープやカレー、炒め物に入れるのがお薦めです。
③ スプラウト:
食物繊維が豊富な食材です。毎日適量食べることで腸内の善玉菌の繁殖にも
効果があります。
④ ヨーグルト:
プロバイオティック(人体に良い影響を与える善玉菌)の宝庫で、おなかを
元気にしてくれる素だといわれています。スーパーに行くとショウケースに
沢山並んでいますが、なるべく砂糖が多くないものがお薦めです。
⑤ ハーブ・ティー:
ペパーミント・ティーやフェンネル・ティーは食べ過ぎや飲み過ぎで胃の調
子が悪いときに消化を助けてくれます。又、胃腸に溜まったガスを除いて
くれます。
ネギ!
ネギ!
様々な食べ物に合わせて食べているネギはいろいろな効能があります。
スーパーに行くといろいろなネギが売られています。大雑把に分けると白「根深」ネギと青「葉」ネギがあります。白ネギには千住ネギ、下仁田ネギ、赤ネギ、曲りネギ、などがあり、青ネギには九条ネギ、小ネギ、ワキゲなどがあります。昔から白ネギは関東、青ネギは関西と言われるくらい、地域によって好みが分れています。
日本はメキシコに次いで世界第2位の生産国です。国内で見ると関東が主な生産県になっています。千葉、埼玉、茨城、北海道、群馬の順です。
栄養素で比較すると、青ネギの法が白ネギより全ての栄養素で含まれる量が勝っています。
ネギの効能はなんといってもアリシン(硫化アリル)です。
風邪、抗炎症作用、抗酸化作用、ストレス、老化、疲労回復、コレステロール抑制、殺菌作用の効果があると言われています。
こんなに効能があるネギですが、食べ過ぎは2つ問題があります。
① 食べ過ぎることで胃を刺激し過ぎてしまい、炎症が起きる可能性です。
② ねぎの食べ過ぎによる口臭や体臭です。
ネギは刻んで食べますが、刻むほどアリシンが出てくるので理に適っています。
食べ過ぎに注意して、ネギの効能を活用しましょう!
アスタキサンチンとは何?
アスタキサンチンとは何?
アスタキサンチンには脂質の酸化を抑える抗酸化作用があり、その作用はビタミンEの1000倍ともいわれています。人間は自ら生成することとは出来ないので外部から摂取しなければなりません。どこにあるかというと、カニの甲羅やエビの殻にあります。元々はヘマトコッカスという藻がアスタキサンチンを持っています。このヘマトコッカスを捕食したプランクトンがエビやカニのエサになるという食物連鎖によって、エビやカニにアスタキサンチンが含まれるようになるのです。
カニやエビを茹でると甲羅や殻が赤く変色しますが、これもアスタキサンチンによるものです。アスタキサンチンは元々赤色ですが、たんぱく質に付着することで青灰色になっています。しかし、茹でることで、たんぱく質から分離して元の赤色に戻るという仕組みです。本来白身魚の鮭の身がピンク色なのもアスタキサンチンによるものです。
もう一つ健康に有力な成分があります。甲羅や殻の主成分は、キチン・キトサンとよばれる多糖類の一種ですが、これを精製処理することで、キトサンだけを取り出すことが出来ます。キトサンは悪玉コレステロールの低下作用、高血圧、動脈硬化、肥満、糖尿病などの生活習慣予防効果が期待されていて、サプリメントなどの健康食品にも使用されています。
アスタキサンチンやキトサンが含まれている甲羅や殻を何とか摂取したいところですが、硬くてなかなか摂取することができません。カニの甲羅を食べるのはあきらめざるを得ないとしても、エビの殻ならパリパリに焼いて食べることができるのではないでしょうか?にんにくとバターで香ばしく焼き上げ、カリカリになった殻をせんべいの感覚で食べてみては如何でしょうか?