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聞こえと難聴について知っておくべきこと - 天と地にある物事を想い巡らすサイト!よろず放談

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「聞く」と「聴く」

音声を「きく」を漢字で表すと「聞く」と「聴く」の表現方法があります。「聞く」は音声の伝達を意味して使われますが、「聴く」は伝達された音声を識別するときに使われます。人間の器官で考えてみると耳が伝達の役割で、脳が識別の役割を受け持っています。補聴器を購入したことで元の状態に戻ると誤解されるケースがありますが、耳は識別ができないことを知っておいてください。しかし、この伝達機能はとても大切で、不十分な音声伝達だと、脳は正確な識別が出来ず、何を言っているかわからない状態になります。難聴のレベルに関わらず、適度な音声レベルで耳から脳に音声を伝達することが大事です。

「聞く」と「聴く」

軽い難聴の課題

日本には難聴者が約1,500万人存在すると言われていますが、その80%以上が聴力測定値70デシベル以下の比較的軽い層の方々です。日本全体の補聴器装用率は14%以下と言われていますが、課題は、難聴レベルが70デシベル以下の軽い層の方々に限ってみると10%以下の装用率になっていることです。

難聴者層推定分布比率推定装用率
軽い層(軽度・中等度) 85%以上 10%以下
重い層(高度・重度) 15%以下 60%以上

高度難聴になって初めて補聴器をつける方が多くおられますが、高度難聴になるまで放置していたため、脳の音声識別機能の回復に時間がかかるケースが多々見られます。早めの補聴器装用を勧めます。

日本語と英語

補聴器を初めて装用する方の平均年齢は欧米先進国では約65歳と言われていますが、日本は約74歳と言われています。この違いの理由はいろいろあるとは思いますが、その中で言語の特性が大きく影響していると思われます。日本語は「あ、い、う、え、お」が主体の母音系言語と言われ、英語はそれ以外の音の発音を重視する子音系言語と言われています。難聴で一番多い加齢性難聴は高音域から始まる傾向があります。子音は高音域に一番強い音として分布しているので、英語は語尾の子音がハッキリしていないと言葉自体が判らない場合が多く、それ故装用時期が早いと指摘されています。一方、日本語の「あ、い、う、え、お」は低音域に分布しているので、英語のような支障はなく、声を大きくすることや、会話の流れからの推測や聞き返しで理解している場合が多いようです。

難聴の進行

難聴レベルは年齢と共に進む傾向があり、補聴器販売店は早めの補聴器装用を勧めています。何故なら、早期装用をすることで難聴の進行を遅くすることができる可能性があるからです。様々な音の環境の中で円滑な会話をすることはご本人のQOLを高めることになりますので、定期的に聴力を測定して聞こえの状況を把握することを勧めます。

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補聴器相談医制度

聞こえが悪い自覚があって耳鼻科医に行った時の、耳鼻科医の対応は様々で、行かれた方が困惑することが起きています。適切な補聴器使用について対応してくれる耳鼻科医はどこなのか悩んでおられる方もいます。幸いなことに、日本耳鼻咽喉科学会が推進している補聴器相談医制度があり、全国で4,000人以上が登録されていますので、聞こえの相談は補聴器相談医に行くことを勧めます。日本耳鼻咽喉科学会のホームページに名簿が掲載されています。

難聴放置

ある程度難聴は認識しているが、十分会話できるのでまだ補聴器は必要ないと感じている人が日本には多数います。その中でも加齢性の難聴は徐々に進行するので気が付いたら相当悪くなっているという現状がいたるところで見受けられます。難聴を放置すると起こる典型的な現象を考えてみましょう。

  • 家族や友人の言葉が聞きづらくなる
  • 聞き直すのが面倒で、判ったふりや、暖味に返事をしてしまう
  • 人と会うことが面倒になり、一人でいることを好む
  • 社交性がなくなると情報収集力が低下し、行動意欲がなくなる
  • 動くことが面倒になり、出不精がちにる
  • 社会とかけ離れることで脳に刺激がいかず、うつ傾向や、認知症の可能性が出てくる

難聴のレベル

レベル認識可能な音の大きさ具体的な症状
正常 ~25dB 高い音も低い音も25dB以下の大きさで聞こえています。
軽度 25dB~40dB未満 人の小声が聞き取りにくいレベルです。まだ大丈夫と考えがちなレベルですが耳鼻咽喉科に相談することを勧めます。
中等度 40dB~70dB未満 1対1の普通の会話も聞き取りにくいレベルです。すぐにでも補聴器を使用しましょう、補聴器の効果が出やすいです 。
高度 70dB~90dB未満 耳元で大声で話しかけて聞こえるレベルです。すぐに補聴器を使用しなければなりませんが、軽度、中等度ほどの効果を感じられないこともあります。
重度 90dB以上 耳元で大声で話しかけても聞き取りにくいレベルです。補聴器を使用しても聞き取れないことがあり、手術による人工内耳の適応を考えることもあります。

耳の構造と難聴の種類

耳は3つの部分で形成されています。

 構成部位役割
外耳 耳介、外耳道 音を集めて方向感が得られる。
中耳 鼓膜、耳小骨 空気振動を増幅してリンパ液の波に変換します。
内耳 蝸牛、三半規 蝸牛の中にある有毛細胞が音を感じ取り、電気信号に変えます。
耳の構造と難聴の種類

難聴の種類

難聴の種類は基本的に2つです。

 伝音難聴感音難聴
障害部位 外耳、中耳 内耳、蝸牛神経、脳
原因 鼓膜、中耳の病気、耳垢 加齢など
難聴程度 軽~中等度 軽度~重度
年齢 年齢に関係ない 高齢者がなりやすい
治療法 薬、手術、補聴器、耳垢除去
(耳垢除去は必ず耳鼻咽喉科で行いましょう)
補聴器(人工内耳)

 

そのほかの難聴

混合性難聴 伝音難聴と感音難聴が混在しています。
ヘッドフォン難聴 ヘッドフォンやイヤフォンで大容量の音を聞き続けているとなる難聴です。この難聴は大容量の音の積算値ともいわれ、例えば、85dB以上の音を一日7時間聞いて、週に5日、そして5年間聞き続けると難聴になるとも言われています。電車の中や街頭で大きい音を聞いている人を良く見かけますが、音は出来るだけ小さくして聞くことを勧めます。

難聴に関連する病気や環境

糖尿病 血液が高血糖状態。最近は難聴や突発性難聴との関係が解って来ています。
脂質異常症 血液中のコレステロールと中性脂肪が多い状態。蝸牛の中の有毛細胞に悪影響が出ると考えられています。
脳心欠陥障害 血液の量が不十分な状態。低音障害型感難聴との関係が指摘されています。
腎臓病 慢性腎臓病患者は難聴の割合が高い調査結果があります。
おたふくかぜ 最近指摘されております。
騒音 長時間騒音にさらされている状態。85db以上の音を長年聞いている。
ストレス 突発性難聴の原因と言われています。

難聴の予防

難聴を予防するのに有効と指摘されていることがあります。

  • バランスの取れた食生活をすること
  • 適度な有酸素運動をすること
  • 長時間の騒音や大きな音を避けること
  • 日常生活でビタミン類を積極的に摂取すること
  • ストレスをためないこと
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