補聴器購入について知っておくべき情報
耳鼻咽喉科で耳の状態を知る
聞こえは悪くなって、そろそろ補聴器を買おうかなと思ったら、まず耳鼻咽喉科で自分の耳の状態を見てもらい、その状態を把握してください。これは最重要事項です。
耳鼻咽喉科では次のようなことをやってくれます。
- ①問診
- ②外耳道や鼓膜を診る
- ③耳以外にも、鼻、咽喉頭、顎関節を診る
- ④耳垢除去(必要に応じ)
- ⑤聴力検査
- ⑥語音聴力検査
- ⑦その他の検査※補充現象検査、鼓膜や中耳の検査、聴性脳幹反応、耳反響放射など
耳鼻咽喉科は眼科や歯科と比べ範囲が広いので各耳鼻咽喉科医の得意分野があるようです。出来れば補聴器相談医を訪れましょう。
耳鼻咽喉科医が連携している補聴器販売店を紹介してくれることがありますが、これまでお世話になっている販売店がある場合、販売店選びはご自身ですることを勧めます。
過度な期待
補聴器を使用したら健聴な時と同じように聞こえるとか、使用したらすぐになんでも聞こえるようになるといった過度な期待は持たないことが重要です。伝音難聴の場合は耳垢掃除や治療で元に戻る可能性がありますが、感音難聴の場合は内耳の有毛細胞が劣化している場合が多く、完全に健聴な状態に戻ることはありません。しかし、個人差はありますが、本人と販売者の取り組みによってかなり改善することは可能です。
積極的な購入姿勢
もう一つ大事なことがあります。それは、補聴器を使用するご本人の積極性と使いこなす意欲です。たまたま二人のお客さんがいて聴力を測ったら、ほぼ同様の内容だったとしましょう。同じ初期設定状態にした補聴器を両者に聞いてもらったら、一人はかなり聞き取りが良くなったと言い、もう一人は全然良くないと言うケースは結構あります。この例のように人の聞こえは様々なので、初期の設定だけで一人一人の満足度を限りなく高めることはできません。ご本人がご自身の要望について試聴期間も購入後も状況を細かく説明し、それに販売者が都度微調整を繰り返しながら、満足度を高めるプロセスが必要です。是非このような積極性と満足度を上げる意欲を継続させましょう。
補聴器販売店選びのコツ
販売者の倫理観
補聴器販売店は事業として収益を上げなくてはならないのは当然のことと思いますが、それ以上に、より良い聞こえと生活の質を提供するという高い倫理観を持った販売者であること。
販売業者の届け出と医療用具販売管理者
補聴器の販売に際し、最寄りの保健所への届け出と医療機器販売管理者がいることが義務付けられているので販売店内にその証書があるかを確認する。
販売者の人間性
どのような状況で使用したいかという主訴をしっかりと聞いてくれ、それを何とか実現しようという意識が高い人間性のある販売者であること。
聴力測定時の言葉の聞き取り測定(67Sや3音節単語など)
プーとかピーという音の聞き取りを行う聴力測定する時に、言葉の聞き取り測定もしっかりやってもらうこと。補聴器を装用しない状態とした状態で言葉の聞き取りがどのように改善しているか把握することが一番大事です。
複数機種の試聴
製品やメーカーによって音質は異なります。本人が気に入る音質の好みもあるので、複数機種の音を聞かせてもらえること。
デジタル補聴器の調整(フィッティング)における販売者の知識と経験
一人一人異なる聞こえに調整するには、補聴器に搭載されている機能群や操作に熟知していなければならないし、これまでの経験で改善を促進することも出来るので知識と経験を良く聞いてください。
認定補聴器技能者の存在
国家資格ではありませんが認定補聴器技能者という業界資格があります。
一般的には認定補聴器技能者がいる販売店がお勧めですが、その人の人間性がどうか、また、現役として業務をしている人かどうか確認することが大事です。
試聴期間
販売店で初期調整後、自宅やいろいろな場所で試聴する期間のことですが、販売店によって試聴期間は違いますので、まず話し合って決めてください。
返品期間
クーリングオフのように各補聴器メーカーは自社製品医対する返品期間を設けています。以前のように十分な試聴期間を設けずに販売していた時は、販売店がメーカーの条件を自動的に適用する傾向がありました。しかし最近は試聴期間が大幅に伸びている製品もあり、一定の返品期間が適用できない場合もあります。補聴器の返品期間については、購入する際、販売店に確認してください。
購入後の微調整やアフターサービス
補聴器を使いこなすためにはきめ細かな微調整やアフターサービスが不可欠です。購入する前に微調整やアフターサービスがどのようにされるのか、販売店に良く聞いてください。
点検修理に対する知識と経験
補聴器は精密機械で耳垢や湿気に弱いところもあります。断音したり、音質が変わったりすることもあるので、点検や修理についてどのような対応がされるのか販売店に聞いてください。
購入の流れ
安心かつ信頼の販売店の原則は次のような過程で進みます。出来ればご家族と一緒に販売店に行くことをお勧めします。
ステップ1
カウンセリング
ご自分の主訴を説明し販売者に十分理解してもらってください。
ステップ2
聴力測定
現在の最小聴力を測ります。これがデジタル補聴器の初期自動調整のデ-タになります。同時に言葉の聞き取り測定をします。これが今後微調整を進めて行くうえで重要なデ-タになります
ステップ3
補聴器選択
主訴や聴力測定結果を踏まえ、販売者が補聴器を選択してくれますが、出来るだけ2種類以上聞かせてもらうようにしてください。音質の好みが人によって異なります。
ステップ4
初期調整
初期の段階なので最高の状態になることはないですが、その後の微調整幅を軽減する努力が求められます。(この段階で販売者の技量、経験及び人間性が浮き彫りになります。
ステップ5
試聴
初期調整の結果をもって試聴期間に入ります。試聴期間については販売店によってばらつきがあります。ご自身が納得できる期間を販売店と相談してください。試聴の方法については販売者が良く説明をしてくれますが概ね次のステップになります。
ステップ1静かな家の中での練習
ステップ2相手一人との会話
ステップ3ラジオやテレビを聞く
ステップ4劇場や講演会等で聞く
ステップ5集会所やレストランでの会話
ステップ6電話で話す
ステップ7様々な環境下で長時間使用する
ステップ6
購入
支払い条件は販売店によって異なりますので、販売店と交渉してください。代金支払い後の返品期間を販売店が定めていますので確認してください。
補聴器選定の目安
- ①目立たない・・・耳あな型(CIC、IIC)、小型RIC
- ②すぐに使いたい・・・耳かけ型、ポケット型
- ③水や汗に強い・・・防水機能付き耳あな型及び耳かけ型
- ④簡単に耳に装用できる・・・耳あな型(CIC、ITC)
- ⑤高出力:ポケット型、ハイパワー耳かけ型
- ⑥簡単操作:ポケット型、リモコン対応補聴器
- ⑦価格重視:ポケット型、低価格耳かけ型
- ⑧電池が長持ち:大きいサイズの耳かけ型、耳あな型(ITE)
調整に重要な機能群
販売者が調整及びアフターケアで最も良く使う機能群ですが、すべての製品に装備されているわけではありません。各機能の内容について販売者に説明をしてもらい、主訴な内容や価格と合わせて製品を選択するようにしてください。
- ①様々な聴力データに対応するノンリニア増幅 (概要はこちら)
- ②ハウリング抑制(概要はこちら)
- ③騒音抑制(概要はこちら)
- ④指向性(概要はこちら)
- ⑤突発騒音抑制(概要はこちら)
- ⑥反響音抑制(概要はこちら)
- ⑦風切り音抑制(概要はこちら)
- ⑧周波数変換(概要はこちら)
- ⑨データログ(概要はこちら)
- ⑩マルチプログラム(概要はこちら)
- ⑪通信機能(概要はこちら)
- ⑫両耳間通信(概要はこちら)
- ⑬360度音空間認識(概要はこちら)
- ⑭充電式補聴器(概要はこちら)