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2028年に人類は再び月へ!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月17日(日)

2028年に人類は再び月へ!

今月14日にNASAのブライデンスタイン長官が人類を再び月面へ送る計画を発表しました。2017年にトランプ大統領が署名した「宇宙政策指令-1」に基づいて、既にアメリカの民間企業と提携し宇宙飛行士を月面に送り込む為の再利用システムの開発計画を発表していますが、今回発表された計画では、2024年に宇宙船のテストを実施し2028年には人類を再び月面に送り届けます。さらに、月の地下に氷の状態で眠っている豊富な水資源を活用した飲料水の生成やエネルギー資源の調達、そして月面滞在実現することまで目的としています。2017年に制定された「宇宙政策指令-1」は月面着陸だけでなく、地球と宇宙のゲートウェイとなる「月周回軌道ステーション」の建設も含まれてていて、完成すれば月への往復だけでなく火星や深宇宙探査への拠点にもなります。これには日本・ヨーロッパ・ロシア・カナダも参加することになっていて、中国を除く大国がそろって参加する大規模な宇宙開発計画なのです。SFの世界が益々身近に感じられるような時代になります!

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アルツハイマー病に関する2つの論文!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月16日(土)

アルツハイマー病に関する2つの論文!

NPO法人オール・アバウト・サイエンスジャパン代表理事である西川氏が、アルツハイマー病に関し、最近発表された2つの論文の解説をされていますので概略を記載します。

① アルツハイマー病(AD)と歯周病菌の関係:

米国の創薬ベンチャー・Cortexymeが「アルツハイマー病の脳内に存在するP.gingivalis:病気の原因を示す証拠と小分子を用いた治療」という論文を発表し、もし、そこに示された結果が確認されて仮説が正しいとすると、この分野がひっくり返るくらいの大発見と西川氏は指摘しています。このベンチャー企業は歯周病菌P.gingivalisが分泌するタンパク分解酵素Gingipainに着目しました。ADの脳組織と正常の脳組織でGingipainの存在を比較するとAD患者さんは圧倒的に高値を示し、さらに、海馬(長期記憶や空間学習能力に関わる脳の器官)にもGingipainが存在することを指摘しています。ADの一つの引き金は神経細胞内にリン酸化Tauが沈殿することだそうですが、蛋白質分解酵素のGingipainがTauたんぱく質を切断し、リン酸化したTauが沈殿して細胞が死ぬためにADが発症すると論じているのです。並行して、同社はGingipain阻害剤(Cor286,Cor271)も開発していますが、現在、アメリカで治験に使われている阻害剤Cor388の第1相の治験は終わっており、今後始まる第2/3相の治験でどのような結果が出るのか注目したいと西川氏はコメントしています。

② 運動によりアルツハイマー病の症状が改善するメカニズム:

ブラジル・リオデジャネイロ大学、米国コロンビア大学、そしてカナダ西オンタリオ大学の共同チームが(運動と連動するFNDC5/irisinがアルツハイマー病のシナプスの可塑性と記憶を回復させる)という論文を発表しました。運動すると筋肉の膜上に発現しているFNDC分子が切断され、irisinと名付けられた分子が細胞から離れて血中に分泌されることがこれまでの研究で知られていましたが、今回の共同チームは、運動が効果があるなら、irisinがその原因ではないかと着想しました。まず、FNDCが筋肉だけではなくADの主要な病巣である海馬でも強くFNDCが発現してirisinを分泌していることを確認しました。次に進行したAD、初期のAD、そして正常の海馬でのirisin量を調べ、進行性ADで脳内のirisinが著明に低下していること、また患者さんの脳脊髄液中のirisinも著明に低下していることを発見したのです。詳しくは記載しませんが、その後、マウスモデルを用いて実験を重ね、運動とADとの相関関係が分子的に説明されています。今後、人間でも運動で確かにirisinが高まることが証明でき、更には、しっかりした運動メニューができれば、irisinはアルツハイマー病の薬剤として期待できるし、記憶力低下をエクササイズで防ぐことすら出来ることになるかもしれません。現在使われているアリセプト(アルツハイマー型認知症およびレビー小体型認知症の症状進行を抑制する薬で、認知症治療薬の中でも古くから使用されています。)と同じような対症療法になるのだろうと西川氏は期待を込めてコメントしています。

はやぶさ2がリュウグウにタッチダウン着陸!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月09日(土)

はやぶさ2がリュウグウにタッチダウン着陸!

今月の6日にJAXA(宇宙航空研究開発機構)が、今月22日にはやぶさ2をリュウグウにタッチダウン着陸させることを発表し、記者団に詳細な資料を提供しながら、着陸の一連の流れを説明しました。それによると、現在はやぶさ2はリュウグウの上空20㎞にいて、着陸点についてのデータを取りながら準備を進めています。21日の朝8時ごろ降下を開始し、何度か停止して着陸点の確認をしながら慎重に取り進め、22日の8時ごろに目標点へのタッチダウン着陸を試みます。今回の着陸は長く留まるものではなく、機体下部の筒状の装置が接地した瞬間に弾丸を撃ち込み、舞い上がった砂や岩の破片を採取し、その後小惑星から離れ、1日をかけて上空20kmのホームポジションに戻る予定です。このブログでは、詳細は省きますが、先日の発表会では資料と共に、あたかも目前で行っているような詳細な降下プロセスの説明がありました。その説明によると、成功するかどうかは地上からの遠隔操作なしで、探査機が自律的に降下する上空45mからの次の様なプロセスにかかっているようです。
① 探査機は45mで降下をやめホバリング状態に入り、前もって地上に落としてあるターゲットマーカーを見つける作業に入ります。これがピンポイントタッチダウンという方式です。
② ターゲットマーカーの捕捉状態になったら、そのターゲットマーカーを視野の中心に見据えた状態を維持しながら、高度を8.5メートルまで下げます。
③ 8.5メートルに到達したら、地球方向にアンテナを向けるような姿勢で降りてきた探査機の姿勢を、着陸の為に地形に沿った着陸態勢に変更します。
④ その後、必ず視野の真ん中にターゲットマーカーを維持しながら、8.5mを水平移動で降下し、目標地点にタッチダウン着陸をするのです。

探査機からの通信で状況は常に監視してはいるのでしょうが、よくもこんな事が出来るものだと感心してしまいます!

地球の北極に「極点」が3つあることをご存知ですか?

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月07日(木)

地球の北極に「極点」が3つあることをご存知ですか?

1つ目は地球の自転軸の北端にある、いわゆる北極点です。
2つ目は地球を包み込む磁気圏から考えられる「地磁気北極点」です。地球の中に棒磁石が入っていると想定したときに、磁石の北端と地表が交わる点で、この棒磁石の角度は地軸と少しだけずれています。そのためこの北極点はグリーンランドの北西沖に位置し、過去100年間でわずかしか移動していません。
3つ目はとても敏感な「北磁極」です。これは方位磁石の北をずっと追いかけていくとたどりつく場所です。地球を取り巻く磁力線が真下を向いている場所とも言え、そこでは方位磁石が逆立ちをします。地磁気北極と異なり、北磁極の位置は地下約3000キロより深い外核にある液体の鉄の影響を受けやすく、この液体の流れが磁場を動かし、地上の北磁極が激しく移動する原因となっています。

 

注目されるのは、現在この「北磁極」に異変が起こっていることです。1831年にカナダのヌナブト準州で初めて確認されたこの北磁極は主に北極点の方向に移動し、その距離は過去数十年間で数百キロでした。世界の関係組織がすべて同じ地図で運営できるようにすることを目的として、この様な変化に対応するべく、米海洋大気庁(NOAA)と英地質調査所(BGS)が世界磁気モデルを作成しました。現在、世界磁気モデルは航海や軍用ナビゲーションをはじめ、グーグルやアップルなども採用している需要なモデルです。これまでの北磁極の動きから、5年ごとにモデルは更新されていて、直近では2015年に更新され、次は2020年の予定でした。ところが、昨年1年間で北磁極がシベリア方面に55kmも移動していたことがわかり、今年の2月4日に急遽変更されました。今後、毎年変更しなければならないかもしれませんが、問題は、移動が加速した理由がわかっていないことに加え、北磁極が今後どうなるかを予測するのが難しいことです。過去20~30万年ごとに発生していた、北磁極と南磁極の入れ替わりが起こることを心配する向きもありますが、北磁極が最近おかしな動きを見せているからといって、もうすぐ地磁気が逆転するわけではなさそうです。地磁気が逆転している兆候はありませんし、過去の地質学的記録からすると、発生するとしても、少なくとも数千年はかかると専門家たちはコメントしています。画像は北極です。
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南極氷河の下に大空洞!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月06日(水)

南極氷河の下に大空洞!

南極大陸西側にあるスウェイツ氷河の下に、マンハッタンの3分の2程の広さで、深さがおよそ300mもある大空洞が発見されました。これまでの観測では過去3年間でここまで大きくなり、140億トンの氷が解けたことになるそうです。スウェイツ氷河では氷と岩盤との間に隙間が存在し、ここに海水が下から流れ込んで氷河を溶かしているのではないかと推測されています。スウェイツ氷河はフロリダ州とほぼ同じ面積で、地球の海面上昇の約4%を担っていますから、万が一すべてが溶けてしまうと、地球の海面は約61cm上昇する計算になります。地球温暖化の間接的な影響とも考えられるので、温暖化を本気で止めないといけないのではないでしょうか!下記はスウェイツ氷河の位置です。

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月面着陸を果たした宇宙飛行士は何人?

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月04日(月)

月面着陸を果たした宇宙飛行士は何人?

2月8日(金)に、アポロ11号の苦難に満ちたミッションを抱え、人類ではじめて月面に降り立ったニール・アームストロングの半生を描く映画【ファーストト・マン】が上映されます。月面着陸に関係する映画はこれまで3作ありました。①有人宇宙飛行計画マーキュリー計画において、アメリカで初めて宇宙飛行士になった7人の男たち“マーキュリーセブン”の挑戦と孤高のパイロットの姿を描き、今なお傑作として語り継がれている作品【ライトスタッフ】、②ロケットの発射角度から着陸地点の割り出しに至るまで、宇宙飛行に必要な膨大な計算を人間自身が行っていた当初のマーキュリー計画で、低賃金で駆り出された数学が得意な3人の黒人女性たちを描いた【ドリーム】、③ミッションは成功せず、NASAのクルーたちによるチームワークにより、宇宙飛行士たちを無事に帰還させる経緯を描いた【アポロ13】です。いずれも月面着陸のシーンはありませんから、今回の【ファーストト・マン】が初めてになります。そもそも、月面への道は1957年にソ連が世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功したことに始まりました。ソ連に国土を観察され、いつ核爆弾を落とされてもおかしくないと感じたアメリカは、宇宙開発に本腰を入れるため、1958年にNASAを創設し、ソ連に先んじて人類を宇宙へと送るべく“マーキュリー計画”を始動するのですが、ソ連は1961年4月にガガーリンの乗るボストーク1号で、有人飛行を成功させ、またしても先を越されてしまいます。プライドを大きく傷つけられたアメリカは、マーキュリー計画に加え、月面着陸の技術開発を目的とした“ジェミニ計画”、そして実際に月へと降り立つ“アポロ計画”に本腰を入れたのです。アポロ有人探査機のうち、月周回軌道に乗ったのは8号、10号、11号、12号、14号、15号、16号、17号で、それぞれ3人の宇宙飛行士が乗っていました。そして、着陸が行われたのは11号以降で、それぞれ2名の飛行士が月面に降り立ちました。従って、月面には合計12人のアメリカ人宇宙飛行士たちが到達したことになります。それぞれのアポロに搭乗した飛行士の方々は次の通りです。(青色が着陸した飛行士です)
アポロ8号  : フランク・ボーマン 、ジェームズ・ラベル、ウィリアム・アンダース
アポロ10号 : トーマス・スタッフォード、ジョン・ヤング、ユージン・サーナン
アポロ11号 : ニール・アームストロングエドウィン・オルドリンマイケル・コリンズ
アポロ12号 : チャールズ・コンラッドアラン・ビーンリチャード・ゴードン
アポロ14号 : アラン・シェパードエドガー・ミッチェルスチュアート・ルーサ
アポロ15号 : デビッド・スコットジェームズ・アーウィンアルフレッド・ウォーデン
アポロ16号 : ジョン・ヤングチャールズ・デュークトーマス・マッティングリー
アポロ17号 : ユージン・サーナンハリソン・シュミットロナルド・エバンズ
(着陸できなかった6人の飛行士たちは可哀想な気がします。)

北極の極渦(きょくうず)と大寒波!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年02月02日(土)

北極の極渦(きょくうず)と大寒波!

今年1月にアメリカ中西部を襲った大寒波は体感温度がマイナス60度に迫る勢いでした。毎年冬になると、北極点では「極渦(きょくうず)」という、成層圏まで達する非常に冷たい空気を溜め込んだ渦が発生します。その渦が何らかの理由で崩れると北極圏外に流れ出し、ジェット気流の軌道を変えます。昨年は欧州に流れ込み「東からの獣」と呼ばれた大寒波をもたらしました。今年は1月3日に極渦が崩壊し、ジェット気流がアメリカ中西部に大寒波をもたらしたのです。何故極渦が崩壊するのかについて、はっきりした原因はわかっていませんが、地球温暖化との関係について気象学会では議論が盛んに行われています。例えば、北極圏にぽっかりとできた黒い海面が反射率の高い氷よりも多く熱を吸収てホットスポットを生み出し、その気候変動によるジェット気流の変動と合わさり、極渦の崩壊を招いているという説があります。さらに、アメリカ海洋大気庁は、地球温暖化による海水温の上昇で蒸気が増え寒波をもたらす画像を公開しています。早く原因をつきとめて、対策をたててほしいところですが、「大気」はさまざまな要素が絡み合ったシステムなので、傾向を予測することは難しいらしいです。



 

2018年・人類の宇宙での活動!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年01月19日(土)

2018年・人類の宇宙での活動!
人類の宇宙での活動は毎年行われていますが、2018年はこれまで同様様々な進展がありました。少し振り返っておきましょう!
○ NASA:
・2018年に2020年から月ステーション計画を本格始動させ、2025年にはクルーメンバーを月へ送ることを発表しました。
・ボイジャー2号が星間空間に到達しました。これから未知の世界に進出します。
・New Horizonが太陽風の届く範囲「ヘリポーズ」に到達しました。太陽に最接近です。
・太陽系で最遠の天体Farout(ファーアウト)」を発見、おそらく氷の世界だそうです。
・ORISIS-RExが小惑星ベンヌで水野痕跡を検知しました。今後着陸予定です。
・太陽系内外で4,600もの惑星を見つけ、トラブルに見舞われては復活したりして、ドラマの多かったケプラーがついに燃料切れとなり、凍える
 宇宙の一部となりました。ありがとう、ケプラー!
探査機「インサイト」は無事に着地し、火星から画像を届けています。
○ 日本:
・はやぶさ2が小惑星リュウグウに到着しました。本番の着陸は今年の2月の予定です。
。JAXAが史上最小の衛星打ち上げロケットを実現しました。
○ 中国:
中国初の民間ロケット打ち上げに成功しました。
・はじめて月の裏面へ向けて、中国の探査機「嫦娥4号」が飛び立ちました。2019年1月に無地到着しています。
○ 民間企業:
・イーロン・マスクのSpaceXによるファルコン・ヘビー打ち上げは、YouTube史上2番目の320万人が視聴という記録を樹立しまし
 た。荷重として先端に乗せたロードスターはNASAが天体として登録することになりましたが、今どこにいるのでしょうか?
・Amazonのジェフ・ベゾスCEOが計画中の弾道飛行チケットは最安でも2000万円だそうです。
・ニュージーランドから新たな民間ロケット「Electron」が商業打ち上げに成功しました。
・SpaceXの新プロジェクト「Starlink」が7518個の人工衛星打ち上げとインターネット運用の許可が下りましたので、やがて世界
 が衛星ネット回線で繋がります!


冬の知床半島の名物・流氷!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2019年01月08日(火)

冬の知床半島の名物・流氷!

毎年1月になるとサハリン北東部で発生した流氷が知床半島まで押し寄せてきます。完全に氷結すると海の上を歩くことも出来ます。様々な旅行会社が稼ぎ時と、流氷見学ツアーを企画しています。個人的にはまだ見たことがないので、いずれ行ってみたいと思います。知床半島は緯度として44度程度でフランスの中部位ですから、何故流氷が発生するのか不思議に感じませんか?北半球で流氷が発生する最南端にいることに自然のめぐみすら感じます。では何故オホーツク海で流氷が発生するのでしょうか?答えは3つの要素が関係しています。

① 図のようにオホーツク海は至宝を陸地と島(千島列島)で囲まれていて、まるで巨大な湖の様な地形です。太平洋と千島列島で隔てられていることが大きいのです。

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② サハリンの北東部にあるアムール川から淡水がオホーツク海に流れ込みます。閉ざされた海なので淡水と海水が混ざり合うことはありません。海面から浅い所と深い所ところで塩分濃度が違う現象が起きます。海面から50mぐらいのところが境界水深だそうです。一般的に、真水は0℃で凍りますが,塩分を含む海水が凍るのは-1.8℃です。しかし、オホーツク海の上層は塩分が薄いので、普通の海水よりも早く凍り始めることが重要なのです。
③ この時期にシベリアから吹き寄せる寒気が益々流氷を育み、そして南下させるのです。
これら3つの要素が一つでも欠けると現在の様な流氷は出来ないそうです。自然とはなんと偉大であることを痛感しますね!

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雲は地上に落ちないのか?

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年12月30日(日)

雲は地上に落ちないのか?

毎日空を見上げると, 大抵雲が優雅に浮かんでいるように見えます。もちろん雨雲は雨となって地上に降ってきて、時には大災害を起こす厄介者です。雨雲以外の雲は気圧の配置によって異なりますが、一般的に偏西風に乗って西から東の方向に移動して、やがて見えなくなり地上に落ちる気配を見せません。雲も重量があるのでおちないのは不思議だと思っていたら理由がわかりました。実は落下してはいるのですが、雲の粒は直径が0.02ミリメートルととても小さく、その落下速度は秒速約1センチメートルなのです。雲が地上から1000メートルの上空にあるとすると、地上に到達するのに約28時間かかることになります。この長時間の間に雲は太陽光にあたって蒸発することもあるでしょうし、雲の下にある上昇気流によって再び吹き上げられてしまうこともあります。さらに雲は同じ場所に28時間も留まっていることはありません。そんな理由が相まって、雲は全く落ちないように見えるのです。