南極のエメラルド氷山!
カテゴリ: 科学、自然
公開日:2019年03月20日(水)
南極のエメラルド氷山!
南極に緑色をした氷山があることを知っていますか?
この氷山は100年以上前から存在が知られていたのですが、何故緑色になるのかは解明されていませんでした。通常、気泡が含まれている氷河の氷は、光の吸収が少なく氷は白っぽく見えます。しかし、高圧下で氷が出来たところでは、気泡が含まれていないので、波長の長い赤い光は氷に吸収され、波長の短い青い光だけが氷の中を進み、私たちの目には、信じられないほど澄んだ鮮やかな青に映ります。エメラルド氷山も眺めていると、驚くほど透き通って見えるので、気泡が含まれていないことがわかります。
永く謎だった緑色の理由を解くヒントがここにありました。当初は海洋生物の死骸などが分解されて、黄色みがかった微小な物質が青く見える氷に混ざり緑の色合になると思われましたが、当時、氷の中の溶存有機炭素量が少なく、この理由は受け入れられませんでした。
未だ推測の域を脱していないのですが、ごく最近指摘されていることによると、土壌や岩石の一般的な成分である 酸化鉄が原因として注目されています。氷床が岩盤の上を流れた際に削り取られた酸化鉄が、やがて岩紛となり棚氷の底の海氷に閉じ込められ、棚氷から分離した氷山に黄色みがかった赤色として残ったと考えられているのです。
氷は赤い光を通しませんし、酸化鉄は青い光を通さないので、侵入した太陽光が屈折されて氷山から出てきたときは、緑の光だけになっているシナリオです。絵具で青色と黄色を混ぜると緑色になりますが、氷山の中でそれが行われていると思うと不思議な気分になります!