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火星探査機「インサイト」!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月25日(日)

火星探査機「インサイト」!

NASAが送り出した火星探査機「インサイト」が11月26日火星に到着する予定です。到着地は赤道付近にあるエリシウム平原です。日照時間が長いためソーラーパワーの探査機好条に好条件として選ばれました。この探査機の目的は地震を調べることで、火星の成り立ちと進化を解明することです。惑星内部で起こることは、地表での活動はもちろん、大気にも影響を及ぼすので、全体的な地質学的進化を解明しないと、将来の居住可能性を調べることが出来ません。インサイトは火星の地表を走り回って探検することはしません。着陸後、地面を約3~5メートルの深さまで掘削する探知器で、惑星内部の放射熱を測定します。そして、火星着陸から2~3カ月後、インサイトは火星の表面に超高感度の地震計を直接降ろします。全てが順調なら、探査機と実験装置は地球の2年(火星の時間ではおよそ1年)にわたり、惑星の鼓動や突発的な振動を記録していく予定ですミッションの主目的は、火星の地殻活動(揺れの頻度、大きさ、揺れ)がどこから来るのかを明らかにすることです。月と同様、隕石衝突によって起こる振動はもちろん、惑星が冷えるにつれて発生する振動や、さらにははるか昔のマグマがガタガタと立てる音などを探査機が感知するだろうと期待されています。火星で地震が起こる頻度やマグニチュードがわかれば、この惑星の地殻活動の活発さが明らかになり、それだけでなく、火星の進化についても手掛かりが得られます。しかも地震を調べれば、火星の地殻の厚さ、マントルが層をなしているのか否か、核の大きさ、核が液体か固体かを突き止められる可能性があります。火星が身近な星になりつつありますね!

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エルニーニョ現象発生!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月11日(日)

エルニーニョ現象発生!

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のことを言います。気象庁の発表によると、10 月のエルニーニョ監視海域であるペルー沖の海面水温が、基準値より+0.9℃高くなり、海洋と大気の状態からエルニーニョ現象が発生したとみられます。さらに、エルニーニョの持続期間ですが、気象庁は来年の春にかけて続く可能性が高いとコメントしています。しかし、国際的には持続期間は1年以上とされているので、もっと長くなる可能性があります。エルニーニョ現象発生時の冬(12月~2月)の天候の特徴として、西高東低が弱くなって寒冷な北西季節風が弱まり、日本では全般に暖かく、日本海側で晴れが多く、太平洋側で曇りや雨雪が多い冬となる傾向があります。仮に夏季も続くとすれば、日本では低温で曇りや雨が多い夏となる傾向があります。一方、WMO(世界気象機関)は今月6日、この冬の北極は平年と比べ気温が高くなるとの見通しを発表しました。現実の現象として、東京地方の木枯らし1号は例年、11月5日頃ですが、今年はまだ吹く気配がありません。そして、北海道の初雪も遅れています。北極からの寒気が弱まり、エルニーニョ現象と合わせて、日本はさらに暖冬になるのでしょうか?

がん治療・画期的治療法が治験中!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月02日(金)

がん治療・画期的治療法が治験中!

国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆医師が編み出した「近赤外光線免疫治療法」(光免疫療法)と銘打たれた画期的メソッドが注目を浴びています。

従来のがん治療は、「外科手術」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤)」の三つに大別され、それに、オプジーボで代表される免疫療法が加わっています。しかしいずれも一長一短があり、患者への負担が懸念されています。外科手術では免疫細胞ごとがんを摘出し、さらには免疫を司るリンパ節まで摘出する場合が多く、大きな穴が開いて体への負担が大きくなります。放射線の場合は最初の治療により、リンパ球の一種でがん細胞を攻撃する作用がある『T細胞』が死滅してしまうので、腫瘍の成長を抑える『腫瘍免疫』が見込めません。抗がん剤も、増殖するがん細胞をターゲットとするものが多いですが、同時に体内で増えている免疫細胞もやられてしまい、やはり腫瘍免疫が効かなくなります。最近脚光を浴びている免疫療法は、がんを直接殺さないで免疫を活性化する方法を用いているので、がん細胞を全部殺せなければなりません。ところが一つのリンパ球が殺せるがん細胞には限りがあるので、最初は頑張って働くものの、そのうちリンパ球自身が疲れ切って死んでしまう可能性があり、それまでにがんが死滅していなければなりません。

これらに対して小林医師があみだした「近赤外光線免疫治療法」(光免疫療法)は人体に無害な光線をがん細胞に照射することで、周囲を傷つけずピンポイントでがんを死滅させられる療法です。具体的には次の様な内容です。「体に異物(抗原)が入った時、これを排除しようとして抗体と呼ばれるタンパク質が合成されます。この抗体IR700という色素で、抗原にピタリと貼り付き結合する性質があるので、がん細胞膜表面に現れるタンパク質の抗原を標的に、近赤外光に反応する物質を組み込んだ抗体を注入します。注入された抗体はがん細胞膜表面の抗原と結合します。ここに近赤外光を当てると組み込まれたIR700が反応し、それまで水溶性だった性質が一変、水に対して不溶性の物質へと変化します。結合した抗原と抗体は不溶性となったIR700を覆おうとするため、抗原が引っ張られて抗原の細胞膜に小さな傷がつきます。この反応があちこちで起こるため、がん細胞の体積は急激に膨張し、耐えきれずに膜の表面に多数の傷が生まれます。その傷口から、周囲の水分が一気に細胞内へと流入。膨れ上がった風船がパンと割れるように、がん細胞が物理的に破壊されていくことになります。さらに、この療法はがん細胞の数を減らしながら同時に免疫力を落とさず、逆にアップさせていくという“二段構え”の治療法なのが特徴です」。
アイデアを実践に移して十余年が経過し、2015年には米食品医薬品局(FDA)から治験が認可され、日本でも今年3月、国立がん研究センターが治験を開始しています。米国では、その治療法によって大きな副作用がないか確認する「フェーズ1」、そして治療効果の有無を確認する「フェーズ2」が終了し、現在は、既存の治療法に対する優位性を検証する「フェーズ3」の準備段階にあるそうです。現在は、喉頭がんや咽頭がんなどの頭頸部がんで発現する『EGFR(上皮成長因子受容体)』という抗原に対応する『セツキシマブ』という抗体を用いているので、治験の対象も頭頸部がんに限定して進められています。このEGFRは食道がんや大腸がん、胆道がん、そして一部のすい臓がんや乳がんの表面にもあるため、すでに動物実験では成功している他の部位への適用も視野に入ってきています。抗体の研究も進んでいて、がん治療に利用できる抗体は他にも20種類ほど実在していることがわかっています。従い、最終的には8~9割のがんに対応できると小林医師は考えています。また、経費面でも高い優位性があると同氏は指摘しています。この療法で必要なのは、IR700を付着させた抗体と、近赤外光を発するレーザー光源くらいで、抗体のセツキシマブは現在、1回投与で実費はおよそ数万円というレベルです。治療は抗体を注射し、その後数回、光を当てるだけなので、早期がんであれば、入院せずに数回の通院だけで対応が可能とのことです。高額なオプジーボや放射線装置に比べれば、相当安い金額で治療が受けられ、患者さんへの身体的負担も圧倒的に軽いそうです。フェーズ3をクリアすれば、保険適用への道も開けるので、これほど負担のないがん治療が早く受けられるようになればと期待します。


地球の構造と歴史!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月30日(火)

地球の構造と歴史!

現在人類が認識している限り、全宇宙で唯一生物が存在している惑星「地球(年齢:46億年、直径:12,756km、大気の主要成分:窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気)」について簡単に掲載します。
地球の構造】:
大きくは「大気圏」、「地殻」、「マントル」、「核」に分けられます。一つひとつをもう少し細かく見てみましょう。
「大気圏」
○ 電離層:
大気が一部電離してプラズマ状態になっている層です。この層が地球嫌圏の最上部にあり、その高さは地表から100㎞と国際的な取り決めがされていてそれより上部は宇宙空間となります。
○ オゾン層:
幅が約さ20KM程あり、オゾンが多く有害な紫外線を吸収してくれます。
○ 熱圏:
80kmより上の層でオーロラが輝く層です。
○ 中間圏:
高さ50~80㎞の領域で一番温度が低い層です。
○ 成層圏:
高さ10~50KMの比較的穏やかな層です。
○ 対流圏:
高さ10kmより下の大気圏です。雨や雲などの自然現象は大体ここで発生しています。
「地殻」
○ 上部大陸地殻:大陸地殻全体の厚さは30~60KMですが、上部大陸地殻は花崗岩質です。
○ 下部大陸地殻:玄武岩質のグラニュライト状の変成岩です。
○ 海洋地殻:厚さは5km保手で減歩画質の岩石です。
「マントル」
○ 上部マントル:橄欖(かんらん)石、輝石、ザクロ石などの鉱物から成る橄欖岩です。近くと上部マントルを合わせてリンスフェアと称し、地震の原因となるプレートを形成しています。
○ 下部マントル:ペロフスカイトやマグネシオウスタイトという橄欖岩質よりもシリコンに投打輝石質組成になっています。地上から約670kmの深さに上部と下部の不連続面であるアセノフフェアがあり、部分的に溶けて流動性を持っています。プレートはこの上に浮かんでいる状態と言えます。
「核」
○ 外核:この層は液体状になっています。内核に比べると景元素である酸素、硫黄、水素が溶けていると推測されています。
○ 内核:鉄のニッケルの合金です。外核と内核は相転移と言って組成構造の転換を繰り返していると考えられています。
地球の歴史】:
約46億年前に誕生した地球が大きく分けて、どのような時代の変遷があったのか掲載します。
「先カンブリア時代(46億~5.41億年前)」:
○ 冥王代:
46億年前に地球
誕生しました。初期の地球にはマグマの海(マグマオーシャン)が広がり,隕石が降り注いでいました。その後地球は徐々に冷え,水蒸気が大量の雨として降った結果,マグマは固まり,原始海洋が誕生しました。
○ 始生代:
40億年前に原始生命が誕生しました。発見されている最古の化石は35億年前のものですが、27億年前には光合成を行うシアノバクテリアが誕生し,酸素の供給が始まりました。
○ 原生代:
25億年前からで、この頃には酸化物が沈殿するほどの多量の酸素が供給されていました。大型多細胞生物が出現しました。エディアカラ動物群が有名ですが,8億~6億年前のスノーボールアース(全球凍結)により、原生代末に大量絶滅しています。超大陸の分裂によりゴンドワナ大陸が誕生したのもこの頃です。
「古生代(5.4億~2.45
億年前)」:
○ カンブリア
紀:、
5.4億年前からで、カンブリア
大爆発の影響により急激に生物が多様化し,現在見られる動物の祖先がほぼ全て出揃いました。三葉虫などの節足動物が繁栄し,また無脊椎動物のほとんどの系統が出現しました。アノマロカリス,ハルキゲニア,ピカイアなどに代表されるバージェス動物群が有名です。
○ オルドビス紀:
4.854
億年前からで、オウムガイの全盛期であり,引き続き三葉虫が繁栄します。甲冑魚のような魚類も登場しました。
○ シルル
紀:
4.434
億年前からで、最古の陸上植物が出現しました。
○ デボン
紀:
4.192
億年前からで、シダ類を主とする森林が出現しました。魚類は更なる進化を遂げ,両生類・昆虫・サメなどが出現しました。しかし,デボン紀末の大量絶滅では,海洋生物を中心に全生物の82%が絶滅したのです。
○ 石炭紀:
3.589
億年前からで、巨大なシダ類が大森林を形成して,後に大量の石炭を産出する元となりました(石炭紀の由来です)。昆虫類・両生類が繁栄し,爬虫類が出現しました。生きた化石「ゴキブリ」もこの頃出現したらしいですが.末期には数百万年に及ぶ氷河期が訪れ多くの生物が死滅しました。
○ ペルム紀(二畳紀):
2.989
億年前からで、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸が衝突し超大陸パンゲアが出現します。陸上には多様な生態系が築かれ,哺乳類の祖先である,単弓類(かつて哺乳類型爬虫類と呼ばれたもの)も繁栄していました。しかしペルム紀末の史上最大規模の大量絶滅により、全ての生物種の90-95%が絶滅したと言われています。
「中生代(2.522億~6600万年前)」
○ 三畳紀(トリアス紀):
2.522
億年前からで、恐竜と哺乳類が出現し,アンモナイトが繁栄した時代です。ペルム紀に30%程度あった酸素濃度が三畳紀には10%程度まで減少し,低酸素状態が続きました(現在は約21%)。
○ ジュラ紀:
2.01
億年前からで恐竜の時代と言われています。現在よりも温暖な気候で降水量も多かったようです。植物はイチョウなどの裸子植物、海洋ではアンモナイトやプランクトンが繁栄しました。また原始的な鳥類が出現し、超大陸パンゲアは分裂し始めました。
○ 白亜紀:
1.45
億年前からで、引き続き温暖な時代.裸子植物やシダ類が減少し被子植物が進化し、繁栄します。恐竜などの爬虫類も引き続き全盛期でティラノサウルス、トリケラトプス、翼竜のプテラノドンなどが最盛期を迎えます。しかし白亜紀末に突如として恐竜等は姿を消しました。その原因としては隕石衝突説が有力です。アンモナイトをはじめ全生物の70%が死滅したと言われています。
「新生代(6600万年前~現在)」
○ 古第三紀:
6600万
年前からで、原始的哺乳類の時代です。現存する哺乳類の多くのグループの祖先型が誕生しました。被子植物の全盛期であり、北極海沿岸に温帯林が広がるほど温暖でした。中期以降は南極の大陸氷河の形成がはじまり,徐々に寒冷化がすすみます。後期は世界的な海退期でした。
○ 新第三紀:
2303万年前からで、世界的な海面大上昇期です。地層が広く分布する.ヨーロッパではアルプス・ヒマラヤが隆起し大山脈を形成しました。生物は現生種と系統的に近いものであり,ゾウやウマなどの草食動物の増加に従い肉食動物も発展しました。末期には寒冷化が進みました。
○ 第四紀:
2588千年前から現在までで、人類の誕生と進化の時代です。現存の人類であるホモ・サピエンスは25万年前に誕生しました。第四紀には氷期と間氷が繰り返し訪れています。

 

紅葉の季節になりました!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月21日(日)

紅葉の季節になりました!

毎年我々を楽しませてくれる紅葉はどうして起きるのでしょうか?実はあまりよく理解していないのでは無いでしょうか?
まずは、葉が色づく条件があります。
1.地域によって異なりますが、一般的には朝の最低気温が8℃前後(※)より低くなる日があって、しばらくして色づき出します。
2.昼間の時間が短くなることで色づき始めます。
3.たっぷり日光を浴びる必要があります。
紅葉の色の変化は色素により緑→黄色→赤色と変化していきます。その色素とは次の3つです。
○ 緑色の色素「葉緑素クロロフィル」:葉を緑色にしている色素のことで、光を吸収し、二酸化炭素+水を、酸素+炭水化物に換えるためのエネルギーを供給しています。
○ 黄色の色素:「カロチノイド」:葉を黄色にする色素。光からエネルギーを吸収する役割を持ち、そのエネルギーはクロロフィルに運ばれます。
・赤色の色素「アントシアニン」:葉を赤色にする色素。熟したリンゴやブドウの皮の赤い色の原因となるものです。
一般的な紅葉の仕組を図解すると次のようになります。
kouyou2
もう一つ疑問に感じるのは、カエデやサクラなどの葉は赤く染まるのに、イチョウやポプラなどの葉は黄色に染まるのは何故だろうということです。実は色づく仕組みが違っているのです。カエデのように赤く染まる葉は、秋が深まり気温が低下し日が短くなると、葉の根元と枝の間に【離層(りそう)】と呼ばれるワインのコルク栓のような組織が形成されます。それにより、光合成で作られた糖が枝などに届かず、日光を浴びて糖とタンパク質が化学反応し、アントシアニンという赤い色素が作られるのです。(その図解)

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一方、イチョウなどの黄色くなる葉はカロチノイドとクロロフィルが含まれています。季節が進み気温が下がると、クロロフィルが先に分解され、分解が遅いカロチノイドの色が際立って見えるようになり、黄色く見えるようになるのです。(その図解)

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はやぶさ2・リュウグウへの着地延期!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月12日(金)

はやぶさ2・リュウグウへの着地延期!

今月末に予定されていたリュウグウへの着地が来年1月以降に延期されました。JAXAの発表によれば、画像の分析結果、地表面が想定以上に険しい為、今後慎重に場所を選んで着地を目指すとのことです。着地に支障が出る直径50センチ以上の岩が多いので、直径100メートルの場所ではなく、直径20メートルに範囲を狭め、より安全な場所を探すことになりました。11月~12月は、はやぶさ2との交信が悪くなるため1月以降にしたものです。着地に失敗すると全てが台無しになるので、慎重を期してもらいましょう!

はやぶさ2・マスコット着陸に成功!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月06日(土)

はやぶさ2・マスコット着陸に成功!

10月3日にマスコットが無事リュウグウに着陸して、その後17時間の地表分析に成功しました。マスコットは、ドイツ航空宇宙センター(DLR)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)が共同開発し、JAXAの探査機に乗せるという国際共同ミッションで、大きさは縦横約30センチ、高さ約20センチの直方体です。小惑星の鉱物を近赤外線と顕微鏡を使って観測、分析する「分光顕微鏡」のほか、磁力計、広角カメラ、温度を測る熱放射計を搭載しています。ミネルバ2は表面の撮影をするだけでしたが、マスコットは分光顕微鏡を使って表面の物質をその場で分析することによって、鉱物に有機物や水が含まれるか、どのような鉱物かなどを明らかにでき、リュウグウの形成過程に迫る科学的なデータを得られると期待されています。はやぶさ2は「リュウグウへの計画通りの到着」「ミネルバ2の2台の分離成功」に続き、「マスコットの着陸と分析」に成功し、着実に運用のハードルを越えてきました。今月末には本番と言える探査機本体の着陸が予定されています。岩石などの凹凸が激しい地表に無事到着させて、一連の作業とデータ収集が出来るのか注目されます。画像はマスコットのイメージです。
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本庶京都大学特別教授・ノーベル医学・生理学賞授与!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月02日(火)

本庶京都大学特別教授・ノーベル医学・生理学賞授与!

本庶特別教授がノーベル医学・生理学賞の授与が決まりました。対象となったのは、本庶特別教授の基礎研究に小野薬品工業が協力して製品化にこぎつけた「オプジーボ」と称し、世界のがん治療を革新した免疫治療薬です。オプジーボは「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる薬剤ですが、がんの発生過程からオプジーボの必要性に至るまでを辿ってみましょう。

    人間の周りには、細菌やウイルスなどの病原体が無数に存在しており、常に体内に侵入してくるのですが、それらの病原体などから体を守っているのが免疫です。免疫は、常に体内を監視しており、がん細胞も含めて異物を見つけると、その異物を攻撃して体内から排除しようとします。

    この役目を担っているのは白血球の一種であるリンパ球のT細胞です。リンパ球には他にNK細胞とB細胞がありますが、T細胞が主に異物(感染した細胞など)を見つけて排除するという、免疫機能において重要な役割を担っています。

    体内では毎日多数の異常な細胞も発生していますが、通常は免疫の力によって異常な細胞は排除されています。一方、免疫細胞には、正常な細胞を攻撃しないように、過剰な免疫が働かないようブレーキとなる「制御システム」も備わっています。これを「免疫チェックポイント機構」と呼びます。

    がん細胞は、正常な細胞からがん細胞へ変化していく中で、「免疫から逃れる力」を得ていきます。がん細胞がPD-L1というタンパク質をつくり出し、T細胞に存在する物質(PD-1)と結合すると、免疫チェックポイント機構を変質強化するが如くT細胞が働かないようにするのです。

    ここで今回の主役であるオプジーボの登場です。オプジーボは、T細胞のPD-1と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤なのです。オプジーボが血液に入ると、T細胞のPD-1と結合し、がん細胞とT細胞の結合が阻害されます。その結果、T細胞はがん細胞からの妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

本庶研究室で「PD-1」を発見してからオプジーボが販売されるまで二十数年かかっているそうですが、ノーベル賞授与に十分値する成果だと思います。日本ではすでに悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、悪性中皮腫、胃がんなどのがん種での投与が承認されていますが、今後は一人でも多くのがん患者が恩恵を受けられるように、オプジーボの適応拡大に期待しましょう!

モンスター銀河・はやぶさ2!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年09月19日(水)

モンスター銀河・はやぶさ2!

  モンスター銀河の内部解明!

124億光年離れたところに、地球の属する銀河系(天の川銀河)の1000倍ものペースで星が生まれているモンスター銀河「COSMOS―AzTEC―1」が存在しています。星を形成するもとは銀河に内在する大量のガスやチリだそうです。今般、国立天文台などの国際共同研究チームは、遠方の銀河を高い解像度で観測できるチリのアルマ電波望遠鏡を使い、モンスター銀河の内部を詳しく観測しました。その結果、モンスター銀河の中心部にガスの多くが集まっていただけでなく、中心から離れた所にも別のガスの塊があり、銀河全体で星が生まれやすい状態になっていたことが分かりました。平均的には、ガスやチリは可視性のある物質で銀河の質量エネルギーの5%程度を占め、重力だけに反応しガスやチリの消失を押さえているダークマターが23%程度なのですが、この銀河ではそれらの比率が高いのかもしれません?画像を見るとすごい迫力が伝わってきます!

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  はやぶさ2・本格探査開始!

本格探査の第一歩は今月21日に行われる小型ロボット「ミネルバ2-1」の投下です。はやぶさ2が高度50メートルまで下降して、直径17センチ、高さ7センチの円筒形で、重さは約1キロの小型ロボットを2機北半球に投下します。役目は地表の撮影や温度の測定ですが、もう一つ重要な狙いがあります。それは重力が地球の8万分の1しかない微小な重力環境での移動技術の実証です。初代はやぶさでの経験も活かして今回採用しているのは、ビー玉を床で弾ませるように回転するモーターの勢いでジャンプし、着地する際の反動を利用して距離を稼ぐ独自の方式です。さらに、地球からの指示は受けず自律して活動します。この方式がうまくいくか注目しましょう!小型ロボット「マスコット」も10月3日に南半球に投下して、鉱物の調査や温度測定、磁場の有無の検証などを行うことになっています。

宇宙全体の物質エネルギーを構成しているのは?

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年09月11日(火)

宇宙全体の物質エネルギーを構成しているのは?

物理学と天文学の難しい話ですが2013年の欧州宇宙機構の発表によると、宇宙全体の物質エネルギーは我々が見知ることが出来る物質(大半を占めていると思われるのは水素やヘリウム)は4.9%、暗黒物質(ダークマター)が26.8%、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)が68.3%です。見える物質日本人は天体そのものやガス状帯にあるすべての原子が含まれています。暗黒物質(ダークマター)とは、「重力を通してのみ物質と影響を及ぼし合う見えない物質」です。暗黒物質の量の測り方はまず、見えている光から星の質量を推定し、次に、見えている星の運動から、銀河の総質量を推定します。総質量から、星の質量を引くと、残りは〈見えていない物質の質量 = 暗黒物質の質量〉と考えらます。そもそも暗黒物質が注目されたのは次の様な疑問でした。宇宙には数多くの銀河が集った「銀河団」と呼ばれる天体の存在があり、銀河団に属する個々の銀河は秒速約1000キロメートルという非常に大きな速度で乱雑な運動をしています。疑問は、「そんなに速く運動している銀河が、なぜひとつのまとまりとして集まり銀河団を形成できているのか」ということでした。銀河団は銀河が互いの重力で引かれあって集まっていると考えるのが自然なのですが、銀河の運動速度はとても大きくて、銀河や銀河どうしの間に満ちているガス(=見えている物質)が持つ重力だけでは互いを繋ぎとめられません。そこで、「銀河が大きな運動速度を保ちつつ集団でいられるのは、見えていないけれど重力を及ぼす物質が銀河団に多数含まれているから」という考えが生まれました。また、銀河団には摂氏約1兆度に達するガスが閉じ込められているのですが、これほど高温のガスを閉じ込めておくには強い重力が必要で、見えている物質だけでは足りないと分かったのです。決定的な証拠は銀河団同士の衝突した跡とされる「弾丸銀河団(Bullet Cluster)」を観測することで得られました。この弾丸銀河団のX線を観測したところ、画像の中央に広がる赤い靄の様な物質(ガス)の分布があり、一方で、重力源がどこにあるかを調べることができる「重力レンズ効果」を用いた結果、赤い物質を取り囲むようにしている青い靄状の重力源の分布が確認できました。普通の物質の分布と重力源の分布がかなり異なっていることから、「見えないけれど重力だけは及ぼす物質」がたくさんあることがハッキリ分かったのです。

darkmatter

暗黒エネルギーとは、宇宙全体に広がって負の圧力を持ち、実質的に「反発する重力」としての効果を及ぼしている仮想的なエネルギーです。互いに反発する性質があるため、宇宙膨張を加速する原因となり得ます。しかしビッグバンから現在も観測されている宇宙の加速膨張は暗黒エネルギーの質量だけでは説明がつかないようで、ダークエネルギーよりもずっと高いエネルギー密度の反発力を持つであろう「インフレーション」という物質の存在が指摘されています。宇宙の話しは奥が深いですね!