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地震規模の表示方法!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年12月27日(木)

地震規模の表示方法!

地震規模を表示する方法としてよく知られているのは「震度」と「マグニチュード」です。その他に「ガル」と「カイン」があるのですが、TVなどの報道ではあまり引用されていません。「震度」、「ガル」、「カイン」は地震の大きさを表しますが、「マグニチュード」は地震そのものの規模を表します。強さは計測場所で変動しますが規模の「マグニチュード」の数値は変わりません。
「震度」を計測するために日本全国に計測震度計があり、そこから自動的に計算された計測速度から換算して気象庁が震度の大きさを発表しています。震度の階級は0~7までですが、5と6に弱と強を加えているので10段階になっています。この表現方法は日本独自のものであり、周辺国以外では使用されていません。
「ガル」は地震の加速度を表します。ジェットコースターなどに乗ったときに体に感じる圧迫感などを「○G(ジー)」といいますが、あのGもガルです。
「カイン」は地震動の最大速度で一秒間にどれだけ変位するかを表す単位です。1カインは1秒間に1cm動いたことを意味します。「ガル」と「カイン」の関係について補足すると、「ガル」はガリレオ・ガリレイの頭文字からとったもので、速度が毎秒1cm(1カイン)ずつ速くなる加速状態を1ガルとしています。地上で物体が自由落下するとき、落下する速度は毎秒980カインずつ増していくので、重力の加速度は980ガルとなります。
地震の大きさの指標として、最大加速度を用いることが多かったのですが、最近になって、被害状況が、最大加速度より最大速度のほうがより一致することが経験的に知られるようになり、地震の大きさの尺度として、最大速度(カイン)のほうがよく使われるようになりました。過去の災害の事例を見ても、100カインほどの大きさであった東日本大震災よりも、200~300カインほどの大きさであった阪神・淡路大震災の方が倒壊した家具や建物の下敷きによる圧死が多いという結果でしたので、現在建築業界では耐震設計上の基準として「カイン」を用いています。
震度とガル、カインの目安は次の通りです。
小地震、中震レベル
震度4: 40~110ガル程度、4~10カイン

中地震、強震レベル
震度5弱: 110~240ガル程度、11~20カイン
震度5強: 240~520ガル程度、20~40カイン
大地震、激震レベル
震度6弱: 520~830ガル程度、41~70カイン
震度6強: 830~1500ガル程度、71~99カイン
震度7: 1500以上、100カイン
「マグニチュード」とは地震によって発生したエネルギーの大きさを指す数値ともいわれています。その規模は―2から12までの段階に分かれています。地震の規模は、地下にある断層が割れた面積とずれた大きさに比例していることから、マグニチュードの数値が1増えた場合、地震のエネルギーは31.6倍になり、2増えた場合は、31.6×31.6の約1000倍になります。大まかな目安ですが、M6の場合、長さ約14キロメートルの断層が発生します。M8では約140キロメートルの断層がずれた地震に相当します。万が一、M12の地震が発生した場合は、ずれる断層の長さは14000キロメートルとなり、地球の直径の12800キロメートルを超えることから、地球は真っ二つに割れてしまう計算になります。上限がM12になっている理由がここにあります。



 

日本の梅雨とヒマラヤ山脈!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年12月23日(日)

日本の梅雨とヒマラヤ山脈!

毎年6~7月に発生する梅雨のシーズンを何気なく受け止めていますが、その発生理由についてあまり真剣に考えたことがありません。実はジェット気流とヒマラヤ山脈が関係しているのです。毎年冬の時期はヒマラヤ山脈の南側を通過しているジェット気流ですが、春になると北側に移動しヒマラヤ山脈とチベット高原にぶつかって二手に分かれます。北の流れは大気を冷やし、南の流れは大気を暖め、日本の東の海上で再び合流して、梅雨の源となるオホーツク海高気圧をつくり出し前線が発生します。さらに7月後半になると、ジェット気流はヒマラヤ山脈とチベット高原の北だけを通るようになるので、海水温の上昇で勢力を強めた太平洋高気圧がオホーツク海高気圧を北に押しやり、ようやく梅雨は終わります。梅雨期間の長さはジェット気流の強さに影響されるので、来年は天気予報士のコメントをよく聞くようにしましょう!

月の探査競争!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年12月12日(水)

 

月の探査競争!

12月8日、中国は月の裏側に着陸する月面探査機「嫦娥4号」を世界で初めて打ち上げました。月の裏側は常に地球の反対を向いている為、直接信号を送れません。そのため、中国は5月に衛星「鵲橋)号」を打ち上げ、探査機と地球の間でデータや指令を中継できるよう月の軌道に投入しています。着陸は来年1月上旬の予定ですが、月の裏側は山が多く地形が険しいので、着陸には遠隔操作の難易度が高まります。これまで裏側に着陸機や探査機が接したことはないので、今回成功すれば、新たな歴史が刻まれます。特に注目されるのは、太陽光があたらない極域に分布するとされる大量の水や氷の存在です、何故なら、飲み水や野菜の栽培、ロケットの燃料としても使えるからです。さらに、核融合発電の燃料となる「ヘリウム3」も豊富にあるかもしれません。この探査機の先に、中国政府は宇宙開発計画に巨額の資金を投じ、2022年までに有人宇宙ステーションを保有することや、最終的に有人月面着陸を実現することを目指しています。
一方、米国のトランプ大統領は昨年末、国際宇宙ステーション(ISS)とは別に、月を周回する新たな宇宙ステーションの建設を指示しました。宇宙飛行士を滞在させて、再び月面に降り立つ構想です。そして、将来的には火星探査の中継基地としても見込んでいます。
日本は2007年、「アポロ以来の大規模探査」と言われた探査機「かぐや」を打ち上げ、地形や地下構造を詳細に調べました。その後、次の計画がなかなか進んでいませんが、中国に先行さされたのこともあり、2021年には月面着陸をめざし、開発費148億円をかけた探査機を打ち上げる予定です。
ロシアやほかの国も黙っていないのではないでしょうか?



タンパク質>ペプチド>アミノ酸!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年12月11日(火)

タンパク質>ペプチド>アミノ酸!

炭水化物、脂質と並ぶ人間の三大栄養素で、体内には10万種類以上も存在していると言われるたんぱく質に注目してみました。簡単に表現するとタンパク質はアミノ酸の結合体になります。人間のDNAは2万種類程度なので、そのDNAを設計図としてできる立体構造のタンパク質も2万種類です。しかし、出来上がったタンパク質は「途中で切れる」、「3次構造を作る」、「糖鎖が結合する」、「リン酸化される」などの修飾を受けて、さらに種類を増やすことなどによって10万種類ものタンパク質が出来上がるのだそうです。タンパク質の基はアミノ酸でその数は20種類しかありません。アミノ酸が初めて発見されたのは1806年で、20番目のスレオニンは発見されたのが1935年ですから、20種類を特定するのに100年以上かかっています。もう一つペプチドという名称があります。これはアミノ酸が2~50結合したものを言います。そしてタンパク質はペプチドが2つ以上集合した総称ということになります。さらに、皆さんがよく聞く言葉にコラーゲンがあります。コラーゲンはタンパク質の1種で、人間の身体をつくっているタンパク質の30%を占めています。主にグリシン、プロリン、アラニン、リジンで構成され、これらがつながってできた鎖を3本組み合わせた「三重らせん構造」をしているのが特徴です。20種類のアミノ酸に焦点を当てると、人間の体内で合成できない必須アミノ酸と、合成できる非必須アミノ酸に分けられます。さらに、必須アミノ酸でも35%を占めるアミノ酸を分岐鎖アミノ酸と称します。バリン、ロイシン、イソロイシンの3つですが、役目としては、①・運動によるたんぱく質の分解を防ぐ、②筋たんぱく質の合成を促進する、③中枢性疲労の予防・回復などがあります。それでは各アミノ酸の特徴を見てみましょう。
必須アミノ酸:
ロイシン:身体の筋肉維持に必要なアミノ酸です。成長や肝機能向上に関与し、肝細胞の増殖・分 化を正常に保ちます。たんぱく質の生合成を促進し、筋たんぱく質を維持します。
イソロイシン:身体の筋肉や血液中のヘモグロビンをつくるのに大切なアミノ酸です。成長に関与し、神経機能を助けています。血管の拡張や肝機能向上にも関与しています。
バリン:身体の筋肉をつくるのに大切なアミノ酸です。成長に関与し、肝機能を向上させ、血液中の窒素バランスの調整も行っています。不足すると食欲が低下するため、栄養不良の悪循環が起こります。
リジン:小麦や米など穀類には少ないアミノ酸です。成長に関与し、身体の組織を修復することを助け、肝機能を向上させます。また、脂肪をエネルギーに変えるのに必要なカルニチンという物質の材料になります。
スレオニン:人が体内で全く合成できないアミノ酸です。成長に関与し、脂肪肝を抑制します。魚や鶏肉、肉などに多く含まれています。
トリプトファン:体内でナイアシンになり、脳内神経伝達物質セロトニンやメラトニンの材料となるアミノ酸です。コレステロールや血圧のコントロールに関与しています。
ヒスチジン:体内での合成が遅いアミノ酸で、幼児の場合不足すると湿疹ができてしまう原因となる必須アミノ酸です。成長に関与し、ヘモグロビンや白血球の生産にも関与しています。血液中のヘモグロビンに多く含まれているので、不足すると貧血になることがあります。
メチオニン:身体の中でタンパク質を生成する際に必ずいちばんはじめに必要なアミノ酸です。不足すると、すべてのタンパク質合成に支障が出てしまう重要なアミノ酸です。薬物中毒の解毒に関与し、肝機能を改善します。また、脂肪をエネルギーに変えるときに必要なカルニチンという物質の生合成に関与しています。
フェニルアラニン:脳内神経伝達物質ドーパミンやノルアドレナリン、黒色色素メラニンの材料になるアミノ酸です。血圧の上昇に関与し、鎮痛作用があります。
非必須アミノ酸:
アルギニン:成長期にその合成能力が足りないため、大人では非必須アミノ酸ですが、小児では必須アミノ酸となっています。成長ホルモン、インスリンやグルカゴンの分泌に関与します。
グルタミン:グルタミン酸とアンモニアからつくられます。ストレスなどで足りなくなる場合もあるために準必須アミノ酸といわれます。小腸や免疫細胞のエネルギー源で、消化管粘膜の保護を助けます。血漿中にもっとも多いアミノ酸です。
グリシン:コラーゲンの約3割を占めています。体内では神経伝達物質としても働き、赤血球や胆汁酸抱合体の材料です。睡眠の質に関与し、体内ではセリンやスレオニンからつくられます。
アラニン:体内のほとんどすべてのタンパク質に存在しています。グルタミン酸とピルビン酸からつくられ、様々なエネルギー源となります。アミノ酸の中でいちばんグルコースに変わりやすいアミノ酸です。
セリン:体内でグリシンやグルタミンなどからつくられます。様々な酵素の部分を構成し、タンパク質分解酵素のような多くの酵素の活性中心に存在します。情報伝達に関与し、中枢神経の栄養因子ともなります。
チロシン:体内でフェニルアラニンからつくられます。ドーパミン、ノルアドレナリン、甲状腺ホルモン、黒色色素メラニンなどの原料になります。非必須アミノ酸ですが、チロシンの摂取は必須アミノ酸フェニルアラニンの節約につながります。
システイン:硫黄を含んでいて、身体のタンパク質の立体構造を保つのに大切な役割を果たし、タウリンや、エネルギーをつくるのに大切な補酵素CoAの成分でもあります。
アスパラギン:世界で最初にアスパラガスから発見されたアミノ酸です。アスパラギンの一部は水素結合に関与し、タンパク質の表面では水や他の極性のあるアミノ酸とくっつく性質があります。
プロリン:体内ではグルタミン酸などからつくられます。コラーゲンの材料となり、角質層の保湿に関与し、コラーゲン合成に役立っています。
アスパラギン酸:タンパク質の親水性などで重要な役割を担っています。身体の中に存在する割合としては少ないアミノ酸で、神経伝達に関与しています。食品としては、人口甘味料アスパルテームの原料でもあります。
グルタミン酸:小麦グルテンから発見されたアミノ酸です。アスパラギン酸同様にタンパク質の親水性で重要な役割を果たしています。脳のアンモニア解毒の気質となり、アンモニアのコントロールに関与しています。興奮性神経伝達物質としても働き、GABAやグルタチオンの材料でもあります。タンパク質に話を戻しますが、成人日本人が一日当たり摂取するタンパク質の必要量については次のようになっているそうです。
タンパク質の推定平均必要量(g/kg 体重/日)=0.65(窒素平衡維持量)(g/kg 体重/日)÷0.90(消化率)=0.72(g/kg 体重/日)
この計算式で体重70㎏の人が摂取すべきタンパク質の量は50g/日だそうです。あまりにも少なすぎるように思いますがどうでしょうか?下記は20種のアミノ酸分子構造です。

aminosan



 

火星探査機「インサイト」!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月25日(日)

火星探査機「インサイト」!

NASAが送り出した火星探査機「インサイト」が11月26日火星に到着する予定です。到着地は赤道付近にあるエリシウム平原です。日照時間が長いためソーラーパワーの探査機好条に好条件として選ばれました。この探査機の目的は地震を調べることで、火星の成り立ちと進化を解明することです。惑星内部で起こることは、地表での活動はもちろん、大気にも影響を及ぼすので、全体的な地質学的進化を解明しないと、将来の居住可能性を調べることが出来ません。インサイトは火星の地表を走り回って探検することはしません。着陸後、地面を約3~5メートルの深さまで掘削する探知器で、惑星内部の放射熱を測定します。そして、火星着陸から2~3カ月後、インサイトは火星の表面に超高感度の地震計を直接降ろします。全てが順調なら、探査機と実験装置は地球の2年(火星の時間ではおよそ1年)にわたり、惑星の鼓動や突発的な振動を記録していく予定ですミッションの主目的は、火星の地殻活動(揺れの頻度、大きさ、揺れ)がどこから来るのかを明らかにすることです。月と同様、隕石衝突によって起こる振動はもちろん、惑星が冷えるにつれて発生する振動や、さらにははるか昔のマグマがガタガタと立てる音などを探査機が感知するだろうと期待されています。火星で地震が起こる頻度やマグニチュードがわかれば、この惑星の地殻活動の活発さが明らかになり、それだけでなく、火星の進化についても手掛かりが得られます。しかも地震を調べれば、火星の地殻の厚さ、マントルが層をなしているのか否か、核の大きさ、核が液体か固体かを突き止められる可能性があります。火星が身近な星になりつつありますね!

insight

エルニーニョ現象発生!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月11日(日)

エルニーニョ現象発生!

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象のことを言います。気象庁の発表によると、10 月のエルニーニョ監視海域であるペルー沖の海面水温が、基準値より+0.9℃高くなり、海洋と大気の状態からエルニーニョ現象が発生したとみられます。さらに、エルニーニョの持続期間ですが、気象庁は来年の春にかけて続く可能性が高いとコメントしています。しかし、国際的には持続期間は1年以上とされているので、もっと長くなる可能性があります。エルニーニョ現象発生時の冬(12月~2月)の天候の特徴として、西高東低が弱くなって寒冷な北西季節風が弱まり、日本では全般に暖かく、日本海側で晴れが多く、太平洋側で曇りや雨雪が多い冬となる傾向があります。仮に夏季も続くとすれば、日本では低温で曇りや雨が多い夏となる傾向があります。一方、WMO(世界気象機関)は今月6日、この冬の北極は平年と比べ気温が高くなるとの見通しを発表しました。現実の現象として、東京地方の木枯らし1号は例年、11月5日頃ですが、今年はまだ吹く気配がありません。そして、北海道の初雪も遅れています。北極からの寒気が弱まり、エルニーニョ現象と合わせて、日本はさらに暖冬になるのでしょうか?

がん治療・画期的治療法が治験中!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年11月02日(金)

がん治療・画期的治療法が治験中!

国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆医師が編み出した「近赤外光線免疫治療法」(光免疫療法)と銘打たれた画期的メソッドが注目を浴びています。

従来のがん治療は、「外科手術」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤)」の三つに大別され、それに、オプジーボで代表される免疫療法が加わっています。しかしいずれも一長一短があり、患者への負担が懸念されています。外科手術では免疫細胞ごとがんを摘出し、さらには免疫を司るリンパ節まで摘出する場合が多く、大きな穴が開いて体への負担が大きくなります。放射線の場合は最初の治療により、リンパ球の一種でがん細胞を攻撃する作用がある『T細胞』が死滅してしまうので、腫瘍の成長を抑える『腫瘍免疫』が見込めません。抗がん剤も、増殖するがん細胞をターゲットとするものが多いですが、同時に体内で増えている免疫細胞もやられてしまい、やはり腫瘍免疫が効かなくなります。最近脚光を浴びている免疫療法は、がんを直接殺さないで免疫を活性化する方法を用いているので、がん細胞を全部殺せなければなりません。ところが一つのリンパ球が殺せるがん細胞には限りがあるので、最初は頑張って働くものの、そのうちリンパ球自身が疲れ切って死んでしまう可能性があり、それまでにがんが死滅していなければなりません。

これらに対して小林医師があみだした「近赤外光線免疫治療法」(光免疫療法)は人体に無害な光線をがん細胞に照射することで、周囲を傷つけずピンポイントでがんを死滅させられる療法です。具体的には次の様な内容です。「体に異物(抗原)が入った時、これを排除しようとして抗体と呼ばれるタンパク質が合成されます。この抗体IR700という色素で、抗原にピタリと貼り付き結合する性質があるので、がん細胞膜表面に現れるタンパク質の抗原を標的に、近赤外光に反応する物質を組み込んだ抗体を注入します。注入された抗体はがん細胞膜表面の抗原と結合します。ここに近赤外光を当てると組み込まれたIR700が反応し、それまで水溶性だった性質が一変、水に対して不溶性の物質へと変化します。結合した抗原と抗体は不溶性となったIR700を覆おうとするため、抗原が引っ張られて抗原の細胞膜に小さな傷がつきます。この反応があちこちで起こるため、がん細胞の体積は急激に膨張し、耐えきれずに膜の表面に多数の傷が生まれます。その傷口から、周囲の水分が一気に細胞内へと流入。膨れ上がった風船がパンと割れるように、がん細胞が物理的に破壊されていくことになります。さらに、この療法はがん細胞の数を減らしながら同時に免疫力を落とさず、逆にアップさせていくという“二段構え”の治療法なのが特徴です」。
アイデアを実践に移して十余年が経過し、2015年には米食品医薬品局(FDA)から治験が認可され、日本でも今年3月、国立がん研究センターが治験を開始しています。米国では、その治療法によって大きな副作用がないか確認する「フェーズ1」、そして治療効果の有無を確認する「フェーズ2」が終了し、現在は、既存の治療法に対する優位性を検証する「フェーズ3」の準備段階にあるそうです。現在は、喉頭がんや咽頭がんなどの頭頸部がんで発現する『EGFR(上皮成長因子受容体)』という抗原に対応する『セツキシマブ』という抗体を用いているので、治験の対象も頭頸部がんに限定して進められています。このEGFRは食道がんや大腸がん、胆道がん、そして一部のすい臓がんや乳がんの表面にもあるため、すでに動物実験では成功している他の部位への適用も視野に入ってきています。抗体の研究も進んでいて、がん治療に利用できる抗体は他にも20種類ほど実在していることがわかっています。従い、最終的には8~9割のがんに対応できると小林医師は考えています。また、経費面でも高い優位性があると同氏は指摘しています。この療法で必要なのは、IR700を付着させた抗体と、近赤外光を発するレーザー光源くらいで、抗体のセツキシマブは現在、1回投与で実費はおよそ数万円というレベルです。治療は抗体を注射し、その後数回、光を当てるだけなので、早期がんであれば、入院せずに数回の通院だけで対応が可能とのことです。高額なオプジーボや放射線装置に比べれば、相当安い金額で治療が受けられ、患者さんへの身体的負担も圧倒的に軽いそうです。フェーズ3をクリアすれば、保険適用への道も開けるので、これほど負担のないがん治療が早く受けられるようになればと期待します。


地球の構造と歴史!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月30日(火)

地球の構造と歴史!

現在人類が認識している限り、全宇宙で唯一生物が存在している惑星「地球(年齢:46億年、直径:12,756km、大気の主要成分:窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素、水蒸気)」について簡単に掲載します。
地球の構造】:
大きくは「大気圏」、「地殻」、「マントル」、「核」に分けられます。一つひとつをもう少し細かく見てみましょう。
「大気圏」
○ 電離層:
大気が一部電離してプラズマ状態になっている層です。この層が地球嫌圏の最上部にあり、その高さは地表から100㎞と国際的な取り決めがされていてそれより上部は宇宙空間となります。
○ オゾン層:
幅が約さ20KM程あり、オゾンが多く有害な紫外線を吸収してくれます。
○ 熱圏:
80kmより上の層でオーロラが輝く層です。
○ 中間圏:
高さ50~80㎞の領域で一番温度が低い層です。
○ 成層圏:
高さ10~50KMの比較的穏やかな層です。
○ 対流圏:
高さ10kmより下の大気圏です。雨や雲などの自然現象は大体ここで発生しています。
「地殻」
○ 上部大陸地殻:大陸地殻全体の厚さは30~60KMですが、上部大陸地殻は花崗岩質です。
○ 下部大陸地殻:玄武岩質のグラニュライト状の変成岩です。
○ 海洋地殻:厚さは5km保手で減歩画質の岩石です。
「マントル」
○ 上部マントル:橄欖(かんらん)石、輝石、ザクロ石などの鉱物から成る橄欖岩です。近くと上部マントルを合わせてリンスフェアと称し、地震の原因となるプレートを形成しています。
○ 下部マントル:ペロフスカイトやマグネシオウスタイトという橄欖岩質よりもシリコンに投打輝石質組成になっています。地上から約670kmの深さに上部と下部の不連続面であるアセノフフェアがあり、部分的に溶けて流動性を持っています。プレートはこの上に浮かんでいる状態と言えます。
「核」
○ 外核:この層は液体状になっています。内核に比べると景元素である酸素、硫黄、水素が溶けていると推測されています。
○ 内核:鉄のニッケルの合金です。外核と内核は相転移と言って組成構造の転換を繰り返していると考えられています。
地球の歴史】:
約46億年前に誕生した地球が大きく分けて、どのような時代の変遷があったのか掲載します。
「先カンブリア時代(46億~5.41億年前)」:
○ 冥王代:
46億年前に地球
誕生しました。初期の地球にはマグマの海(マグマオーシャン)が広がり,隕石が降り注いでいました。その後地球は徐々に冷え,水蒸気が大量の雨として降った結果,マグマは固まり,原始海洋が誕生しました。
○ 始生代:
40億年前に原始生命が誕生しました。発見されている最古の化石は35億年前のものですが、27億年前には光合成を行うシアノバクテリアが誕生し,酸素の供給が始まりました。
○ 原生代:
25億年前からで、この頃には酸化物が沈殿するほどの多量の酸素が供給されていました。大型多細胞生物が出現しました。エディアカラ動物群が有名ですが,8億~6億年前のスノーボールアース(全球凍結)により、原生代末に大量絶滅しています。超大陸の分裂によりゴンドワナ大陸が誕生したのもこの頃です。
「古生代(5.4億~2.45
億年前)」:
○ カンブリア
紀:、
5.4億年前からで、カンブリア
大爆発の影響により急激に生物が多様化し,現在見られる動物の祖先がほぼ全て出揃いました。三葉虫などの節足動物が繁栄し,また無脊椎動物のほとんどの系統が出現しました。アノマロカリス,ハルキゲニア,ピカイアなどに代表されるバージェス動物群が有名です。
○ オルドビス紀:
4.854
億年前からで、オウムガイの全盛期であり,引き続き三葉虫が繁栄します。甲冑魚のような魚類も登場しました。
○ シルル
紀:
4.434
億年前からで、最古の陸上植物が出現しました。
○ デボン
紀:
4.192
億年前からで、シダ類を主とする森林が出現しました。魚類は更なる進化を遂げ,両生類・昆虫・サメなどが出現しました。しかし,デボン紀末の大量絶滅では,海洋生物を中心に全生物の82%が絶滅したのです。
○ 石炭紀:
3.589
億年前からで、巨大なシダ類が大森林を形成して,後に大量の石炭を産出する元となりました(石炭紀の由来です)。昆虫類・両生類が繁栄し,爬虫類が出現しました。生きた化石「ゴキブリ」もこの頃出現したらしいですが.末期には数百万年に及ぶ氷河期が訪れ多くの生物が死滅しました。
○ ペルム紀(二畳紀):
2.989
億年前からで、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸が衝突し超大陸パンゲアが出現します。陸上には多様な生態系が築かれ,哺乳類の祖先である,単弓類(かつて哺乳類型爬虫類と呼ばれたもの)も繁栄していました。しかしペルム紀末の史上最大規模の大量絶滅により、全ての生物種の90-95%が絶滅したと言われています。
「中生代(2.522億~6600万年前)」
○ 三畳紀(トリアス紀):
2.522
億年前からで、恐竜と哺乳類が出現し,アンモナイトが繁栄した時代です。ペルム紀に30%程度あった酸素濃度が三畳紀には10%程度まで減少し,低酸素状態が続きました(現在は約21%)。
○ ジュラ紀:
2.01
億年前からで恐竜の時代と言われています。現在よりも温暖な気候で降水量も多かったようです。植物はイチョウなどの裸子植物、海洋ではアンモナイトやプランクトンが繁栄しました。また原始的な鳥類が出現し、超大陸パンゲアは分裂し始めました。
○ 白亜紀:
1.45
億年前からで、引き続き温暖な時代.裸子植物やシダ類が減少し被子植物が進化し、繁栄します。恐竜などの爬虫類も引き続き全盛期でティラノサウルス、トリケラトプス、翼竜のプテラノドンなどが最盛期を迎えます。しかし白亜紀末に突如として恐竜等は姿を消しました。その原因としては隕石衝突説が有力です。アンモナイトをはじめ全生物の70%が死滅したと言われています。
「新生代(6600万年前~現在)」
○ 古第三紀:
6600万
年前からで、原始的哺乳類の時代です。現存する哺乳類の多くのグループの祖先型が誕生しました。被子植物の全盛期であり、北極海沿岸に温帯林が広がるほど温暖でした。中期以降は南極の大陸氷河の形成がはじまり,徐々に寒冷化がすすみます。後期は世界的な海退期でした。
○ 新第三紀:
2303万年前からで、世界的な海面大上昇期です。地層が広く分布する.ヨーロッパではアルプス・ヒマラヤが隆起し大山脈を形成しました。生物は現生種と系統的に近いものであり,ゾウやウマなどの草食動物の増加に従い肉食動物も発展しました。末期には寒冷化が進みました。
○ 第四紀:
2588千年前から現在までで、人類の誕生と進化の時代です。現存の人類であるホモ・サピエンスは25万年前に誕生しました。第四紀には氷期と間氷が繰り返し訪れています。

 

紅葉の季節になりました!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月21日(日)

紅葉の季節になりました!

毎年我々を楽しませてくれる紅葉はどうして起きるのでしょうか?実はあまりよく理解していないのでは無いでしょうか?
まずは、葉が色づく条件があります。
1.地域によって異なりますが、一般的には朝の最低気温が8℃前後(※)より低くなる日があって、しばらくして色づき出します。
2.昼間の時間が短くなることで色づき始めます。
3.たっぷり日光を浴びる必要があります。
紅葉の色の変化は色素により緑→黄色→赤色と変化していきます。その色素とは次の3つです。
○ 緑色の色素「葉緑素クロロフィル」:葉を緑色にしている色素のことで、光を吸収し、二酸化炭素+水を、酸素+炭水化物に換えるためのエネルギーを供給しています。
○ 黄色の色素:「カロチノイド」:葉を黄色にする色素。光からエネルギーを吸収する役割を持ち、そのエネルギーはクロロフィルに運ばれます。
・赤色の色素「アントシアニン」:葉を赤色にする色素。熟したリンゴやブドウの皮の赤い色の原因となるものです。
一般的な紅葉の仕組を図解すると次のようになります。
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もう一つ疑問に感じるのは、カエデやサクラなどの葉は赤く染まるのに、イチョウやポプラなどの葉は黄色に染まるのは何故だろうということです。実は色づく仕組みが違っているのです。カエデのように赤く染まる葉は、秋が深まり気温が低下し日が短くなると、葉の根元と枝の間に【離層(りそう)】と呼ばれるワインのコルク栓のような組織が形成されます。それにより、光合成で作られた糖が枝などに届かず、日光を浴びて糖とタンパク質が化学反応し、アントシアニンという赤い色素が作られるのです。(その図解)

kouyou3
一方、イチョウなどの黄色くなる葉はカロチノイドとクロロフィルが含まれています。季節が進み気温が下がると、クロロフィルが先に分解され、分解が遅いカロチノイドの色が際立って見えるようになり、黄色く見えるようになるのです。(その図解)

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はやぶさ2・リュウグウへの着地延期!

カテゴリ: 科学、自然 公開日:2018年10月12日(金)

はやぶさ2・リュウグウへの着地延期!

今月末に予定されていたリュウグウへの着地が来年1月以降に延期されました。JAXAの発表によれば、画像の分析結果、地表面が想定以上に険しい為、今後慎重に場所を選んで着地を目指すとのことです。着地に支障が出る直径50センチ以上の岩が多いので、直径100メートルの場所ではなく、直径20メートルに範囲を狭め、より安全な場所を探すことになりました。11月~12月は、はやぶさ2との交信が悪くなるため1月以降にしたものです。着地に失敗すると全てが台無しになるので、慎重を期してもらいましょう!