カテゴリ: 科学、自然
公開日:2019年04月06日(土)
2020年は「バイオ・データ・エンジニアリング」元年?
最近開催されたAIカンファレンス「EmTech Digital」で発表されたのは、AIとロボットの組み合わせ技術でした。 この二つをかけあわせることで、創薬でも新素材でも現在よりはるかに短時間で出来るそうです。
詳細は省きますが、この技術の元になるのはオートエンコーダです。脳神経系をモデルとした情報システムである3層ニューラルネットは、学習能力を持ち、必要とされる機能を提示されるサンプルに基づき自動形成することができますが、オートエンコーダは、このニューラルネットにおいて、入力層と出力層に同じデータを用いて学習させるアルゴリズムです。
簡単な例を挙げると、入力にアスピリンを、出力にカフェインを設定してこのアルゴリズムを使うと、真ん中の隠れ層には、アスピリンとカフェインの特徴を残した化合物がいくつも生成されます。あとは、この中から使えそうな性質や機能を持つ化合物を探し出すだけなので、人間が一から生成するよりも、時間と労力を大幅に短縮できることになります。
そして、この延長線上には、どんな化合物でもできる可能性があります。例を挙げると、すこし前にニュースなどでよく取り上げられていたことですが、入力にタバコを吸っている女性の顔写真、出力にアイシャドウをつけた女性の顔写真を設定したら、真ん中の隠れ層に両方の女性の顔の特徴を持った写真がいくつか生成されました。隠れ層の女性の顔写真は実在しない女性の顔写真ですが、どれも女性らしい特徴を備えたものになっていました。
薬の世界でも、市販の薬の特性を入力すれば、構造が異なるのに同じ特性の薬を作り上げることが可能で、市販されている薬のメーカーに、ライセンス料を支払う必要がなくなります。さらに、固まるのが速いセメント、特定の雑草にだけ効く安全な除草剤など、これまでにない化合物を作ることも可能で、アクセス可能な市場は無限にあるらしいです。あるベンチャー企業が「青色を吸収しない化合物の生成実験を開始していて、夏までにはその成果がわかるそうです。
バイオ・データ・エンジニアリングの時代に入ると、価格や時間のパラダイムシフトが起こりそうです!