サンマはどこにいるのだろうか?
サンマはどこにいるのだろうか?
9月の魚と言えばサンマで、誰もがスーパーに買いに行きますが、今年は数が少なく小さいものばかりでしかも値段が高いです。昨年はサンマの刺身を出していたお寿司屋さんでも、今年はメニューに入っていません。メディア情報では中国が取り過ぎて日本まで回遊してこないらしいですが、中国人が突然サンマを食べ始めるわけでもなさそうなので、どうも情報の信頼性に乏しさを感じます。そこで、本当はどうなのか調べてみました。
① まず知っておかなければいけないのは、サンマの漁獲量は減少傾向にあることを認識して、国際的に漁獲量を制限していく必要性があることです。今年の7月に北太平洋漁業委員会で加盟国のサンマ漁獲量の総量を55万トンにすることで合意しました。55万トンはこれまで2度しか達したことがない量なので、数字としてはあまり意味がないのですが、そのような合意が出来て、今後総量を減らす可能性が出てきたことは意味があります。
② サンマは日本近海で生息する魚ではありません。太平洋のハワイの北辺りに住んでいます。サンマは卵を産むために秋頃に南へ回遊するのですが、その群れの一部が日本の近辺を通ります。その時期にしか日本の漁場を訪れないので、サンマは秋にしか獲れないのです。
③ さすが日本だと思いますが、2003年から国立研究開発法人 水産研究・教育機構が水産庁の委託を受けて、毎年6~7月に調査船を出しています。サンマの回遊ルートを遡り、どれぐらいのサンマが日本へ向かって来るか、太平洋を横切ってハワイよりも東の方まで行って調べています。調査ルートが、日本に近い方から1区、2区、3区に分けられていて、1区にいるサンマは8月後半から9月頃に、2区は10月以降に日本に来遊し、漁獲されると予想されています。今年の調査結果では、1区のサンマの分布量は0に近い値でした。だから今の時点で不漁だと騒ぎますが、データを見れば当たり前ということのようです。そして、今年は2区には1歳魚のサンマがいるので、サイズの比較的大きいサンマが10万トンほど獲れるのではと予測されています。
④ 日本近海に回遊してくるサンマは毎年4~500万トンらしいですが、漁獲しているのはそのうち30~40万トン程度です。その中で一番多く獲っているのが日本で25万トン程です。その次は韓国、ロシア、台湾ですが、何れの国も4万トンに達していません。中国は2012年以降に少しずつ漁獲していますが、現状では微々たるものです。人口が多いので、メディアが誇張した報道をしていますが、真実の報道をしてほしいものです。
⑤ サンマについてはもう一つ課題があります。一般的にサンマは安くて美味しい魚の印象が強いのではないでしょうか?今年のように、現時点で漁獲量は減り、店頭価格が上がると魅力が薄れるかも知れません。しかし、美味しさは変わらないのでやはり食べたいと思います。豊漁の時は問題にならないのですが、漁獲量が減ると、一番生活に影響が出てくるのは漁師さん達です。彼らがサンマ漁離れをすると、我々はサンマを食べることが出来なくなるのです。従い、漁獲量が減ったときは、喜んで高いサンマを食する様な習慣をつけたいと思いますが、如何でしょうか?