「スカボローフェア」とパセリ・セージ・ローズマリー&タイム!
「スカボローフェア」とパセリ・セージ・ローズマリー&タイム!
香辛料を調べていたら、1966年に映画「(卒業)の主題歌として大ヒットした、サイモンとガーファンクルの「スカボローフェア」を思い出しました。自慢にもならないですが、ギター片手に良く歌っていたものです。スカボローフェアは正式な発音では「スカーバラ・フェア」と称し、スカーバラは英国ノース・ヨークシャー州に現存する海沿いの街ですが(画像は町の概観)、フェアは市のことです。
中世期は交易の拠点として栄えて、毎年夏にフェア(市)が開催され、歌詞にある様なパセリ、セージ、ローズマリー、タイムといったハーブも売買されていたそうです。17世紀ごろ、「妖精の騎士」と呼ばれた別のバラードを元にして作られ、吟遊詩人達によって歌い継がれていたもののひとつとの言い伝えがあります。サイモンとガーファンクルはそのバラードをハーモニーを交え、美しいメロディーに変えて歌ったのです。妖精の騎士の歌詞は魔界の妖精と人間のやり取りとされています。魔界の妖精が、旅人に無理難題を問いかけ、もし、旅人が、まともに返答したなら、魔界にさらっていくというものでした。その企みを見抜いた旅人は、「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」 と、魔除け効果のあるハーブの名を唱えて、うまく逃げおおせたということらしいです。サイモンとガーファンクルの歌詞では、大陸からスカーバラ・フェアを訪れた男性が、その折、巡り合ったかの地に住む昔の恋人に、「自分のことは忘れてくれ」というメッセージを込めたものになっています。映画「卒業」では男と女が逆の立場になる展開なのですが、メロディーといい、歌詞といい、映画のストーリーに良く合っていたと思います。
さて、ここで本題ですが、4つのハーブは魔除けの効果、つまり、抗菌性や抗酸化性が高いハーブたちのようです。それぞれを少し見てみましょう。
〇 パセリ:
原産地はイタリアのサルデーニャ島と言われていますが、さわやかな香りを持ち、鮮やかな緑色をしています。おそらく、外国原産の中で、日本人が一番よく知っているハーブの一つでしょう。栄養価は極めて高く、ビタミンA (βカロチン)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC など多くのビタミンを含み、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルも野菜の中でも屈指でです。他にも食物繊維、葉緑素、カリウムなども含み、これら栄養素の含有量は、野菜の中でもトップクラスだそうです。香りが結構強いので、好き嫌いがありますが、栄養価がとても高いので、ぜひ積極的に摂りましょう!
〇 セージ:
セージはシソ科アキギリ属の多年草または常緑低木で地中海原産です。長楕円形で柄のある葉は対生し、表面に細かい縮れがあるのが特徴で、ヨモギに似た芳ば しい香りです。ローズマリーとともに他のスパイスに比べて際立って強い抗酸化作用を有していて、脂肪分解や臭み消し効果があるので肉料理の香り付けによく使われていますが、そのほかの薬用効果も多彩なハーブです。
〇 ローズマリー:
地中海沿岸が原産の、シソ科のフレッシュスパイス(ハーブ)です。消臭効果や抗菌作用、抗酸化作用があり、甘い芳香と爽やかなほろ苦さが特徴です。下味づけや調理途中で加え、クセのある肉や魚介の臭み消しのほか、野菜料理の風味づけにも使われます。さらに、肉や魚とともにグリルやオーブンで焼き、香りを移した香草焼きなども、おなじみの使い方です。
〇 タイム:
タイムはシソ科イブキジャコウソウ属の植物の総称で、およそ350種もあります。数ある種の中でも、日本で使われるコモンタイム(立麝香草)、シトラスタイム(レモンタイム)、ワイルドタイム(ヨウシュイブキジャコウソウ)が代表的な種でです。芳香を持つ多年生植物で、丈が低く草本にみえるが、茎が木化する木本です。肉類、スープ、シチューの香り付けにしばしば使われるます。また、フランス料理ではブーケガルニ(香草類を束ねたもの)やエルブ・ド・プロヴァンス(プロバンス地方で用いられるハーブブレンド)に欠かせない食材の1つでもあります。