そばの話し!
そばの話し!
様々な種類があり、深く知れば知るほどそれらが楽しめるそばについて、初心者が知っておくべき点を取り上げてみました。
① そば麺(そば切り)の発祥の地:
甲州・天目山説、信州・本山宿説、信州・定勝寺説、博多・承天寺説などありますが、実際は何処が発祥の地かわかっていません。最古の記録としては定勝寺に残る資料です。1574年に仏殿を修理した際、動員した職人にそば切りを振る舞ったとの記述があるそうです。
② 種類の代表格:
十割そば:100%がそば粉でできた麺です。十割そばを打つ際は、つなぎとなる小麦粉を使わず少量の水だけを加えます。そのため、そばの実の品種や産地、精粉方法、職人の腕が肝心です。そば粉のざらりとした舌触りや香りを堪能したい人にお薦めです。そば粉だけで麺を打つことを「生粉打ち(きこうち)」と称し、「生そば(きそば)」と表記されることもありますが、そば店の看板・のれんなどに「生そば」と書かれているからといって、十割そばを提供しているとは限らないそうです。
二八そば:
二八そばは、小麦粉:そば粉=2:8で打った麺のことです。つなぎに小麦粉を使うことで、麺にコシが生まれ、心地よいのどごしになります。実際に製麺されているのはこの二八そばが圧倒的に多いようです。
③ 麺の色の違い:
麺の色の違いは、“そば粉の種類の差”にあります。そばの実は、黒っぽい外皮(そば柄)に包まれており、これがついた状態を「玄そば」と呼びます。白米に対する玄米と同様です。そして、外皮の内側には薄緑色の薄皮があり、さらに内側は白っぽい胚乳部があります。このうち、どの部分を精粉するかで、麺の色が決まることになります。つまり、色で十割か二八かを決めることは出来ません。
④ 江戸三大そば:
これはある程度のそば通しか当てることが出来ないかもしれません。「藪」「更科」「砂場」が江戸三大そばなのです。いずれもそば店の系統の名前で、のれん分けしたお店がその名を看板に掲げています。
「藪」:
「藪」は、幕末の頃、東京の千駄木にあった「蔦屋」が元祖で、店が藪に囲まれていたことから、「藪そば」の愛称で親しまれていたそうです。現在は、「かんだやぶそば」や「並木藪蕎麦」などが名を轟かせています。藪系統の麺は淡緑色。これは、そばの実外皮の甘皮を適度に挽き込んだ粉を使うためです。
「砂場」:
「砂場」は「虎ノ門 大坂屋砂場」が有名ですが、もともとは大阪城築城時、砂のある資材置き場近くにあった店なのです。江戸に移ったのは、江戸時代中期のことだそうです。現在大坂に砂場系統のそば店はないそうなので、大坂発祥のそば店が江戸前そばの起源の1つになったことになります。二八そばを使い、1955年に天ざるを開発したことで有名です。汁は甘く濃いめです。
「更科」:
「更科」は、信州更級郡にルーツを持つそば店です。信州出身の布屋・堀井清右衛門は、そば打ちに長けていたそうで、江戸時代後期、「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」を江戸の麻布永坂町に開店しました。現在も、創始者の直系「総本家 更科堀井」があります。
「更科そば」は白い麺が特徴で、そばの実を挽いた際、最初に出てくる胚乳のみを集めた貴重な「一番粉」を使って打ちます。色のある甘皮が混ざっていないため、麺もおのずと白くなります。そばの香りは控えめですが、ほのかな甘みがあります。細くしなやかな麺のためのど越しなめらかになり、「御前そば」や「御膳そば」の別名があります。
⑤ 日本三大そば:
日本の「三大そば」がなにかをご存知でしょうか?答えは、岩手県の「わんこそば」、長野県の「戸隠そば」、島根県の「出雲そば」です。どれも麺や食べ方に特徴があり、日本各地に多様なそば文化が根付いていることを教えてくれます。
「わんこそば」:
テレビでも良く見るので有名な岩手県発祥のわんこそばは、そばつゆにくぐらせたひと口で収まるくらいのそばをお椀の中にいれて、食べ終わると次のそばを入れ続け、お客さんがもう食べれないとなるまで入れ続けます。わんこそばの味は、たくさん食べられるようにとクセがなく、さっぱりとした味付けになっています。急いで食べるイメージのあるわんこそばですが、実は観光の柱にしようと始めたのがきっかけです。本来のわんこそばは、ゆっくりと味わって食べるおもてなしの郷土料理ということだそうです。発祥地は岩手の盛岡紀元説と花巻紀元説があり、現在もいずれかわかっていないようです。
「戸隠そば」:
戸隠そばの特徴は盛り方にあります。「ぼっち盛り」と言われ、ひとつのざるの上にそばの水を切らずにくるっと長い円を描くように盛りつけます。実際に食べてみると不思議と水っぽさは感じないそうです。このそばは、打ち方から円形のざるを使うなど、食べ方に特徴の多いそばです。
「出雲そば」:
出雲そばは、割子そばと釜揚げそばがあるのが特徴です。一般的なそばよりも色が黒いため、見た目で出雲そばと識別できます。割子そばの方が有名で、めんつゆをそばの入った器に入れて食べます。薬味がつくのが定番で、おろし大根は基本セットになっています。
⑥ その他の独特なそば:
「へきそば」:
新潟県魚沼地方発祥の「へぎそば」は、海藻のふのりをつなぎに使ったコシの強いそばで、同地ではわさびが採れなかったため、からしを添えて食べるそうです。
「音威子府そば」:
北海道中川郡の音威子府(おといねっぷ)村で製麺されている暗黒色のそばです。外皮の甘皮もしっかり挽き込んで黒い麺になるのですが、ぼそぼそ感がなく、コシは強めで、そばの香りも超濃厚だそうです。
「富倉そば」:
長野県飯山市富倉地区の「富倉そば」は、山ゴボウ(オヤマボクチ)を使い、シコシコとした食感を生み出しているそうです。オヤマボクチの葉の繊維を仕込んだり、生地を乾かしたりするのに手間がかかることや、雪深い信州最北の地でつくられるため、“幻のそば”とも呼ばれています。