沈む危機にあるベネチアをMOSEが救えるか?
沈む危機にあるベネチアをMOSEが救えるか?
「水の都」ベネチアが現地時間12日午後10時50分に、187センチの高潮を記録したそうです。これは1966年に記録した194センチに次ぐ高さで、最も標高の低いところにあるサンマルコ寺院は寺院入り口近くの柱廊で高さ70センチの浸水になった様です。また、サンマルコ広場周りに展開しているバールも全て営業停止になりました。ベネチアは毎年秋から冬にかけて、シロッコと呼ばれる南風の影響で満潮時に高潮が起こりやすく、今年は大雨が重なってこのような事態になったらしいです。
35年くらい前になりますが、2月にベネチア観光に行った時がちょうどカーニバルの日でした。ベネチアの住民も観光客も様々な仮装をしてサンマルコ広場を闊歩するのですが、様々な仮装があってとても楽しい一時でした。さらに、夜になると建物の一角に、顔を白く塗り衣装も白装束の人があたかも人形の様に立っていたりして、照明で浮かび上がると幻想的な雰囲気を醸し出すのです。あちらこちらにそのようなシーンが展開していて、世界で一番美しいカーニバルではないかと思ったものでした。
そのベネチアが沈む危機にあるということはただ事ではありません!
ベネチア市はその対策としてMOSE(電気機械実験モジュール)という防壁を作ることを決めて、2003年に工事を始めましたが、汚職事件や財政的な問題、構造上の問題によって引き起こされた無数の遅れのせいで、防潮堤はいまだに完成していません。当初の完成予定は2014年でしたが、現在の予測では2020年になるそうです。
この防壁は画像の様にアドリア海と潟とを結ぶ三つの入り江の計4か所に、合計78枚の稼動式堤防を設置する壮大なものです。
仕組みは、可動ゲートでの到達予測水位が110cm以上を超えると可動ゲートに急速に空気を注入し、ゲート内の海水が押し出すことによる浮力でゲートを立ち上がらせようというものです。これで最大2mの高さまで防ぐことができるようです。
高潮が収まると空気を抜いて元の位置に戻りますのですが、何故固定ゲートにしないのかといえば、ベネチア近辺の生態系を守るためだそうです。
旧約聖書のモーゼとは少し異なりますが、できるだけ早くMOSEを完成させて、美しい「水の都」ベネチアを水害から守ってほしいと思います!