藤井王位(五冠)王位戦第3局を制す!
藤井王位(五冠)王位戦第3局を制す!
挑戦者豊島九段の先手で始まった第3局は84手で勝敗が決着した。
従来型と言われる角換わり腰掛け銀という最近では珍しい戦型で始まった様だが、
後手の藤井王位が先に仕掛け豊島九段が受ける形で進行した。
奥深いプロの将棋はよくわからないのだが、TV観戦していると解説者がAIの示す最善手を前提に
その後の展開を幾通りか示してくれるので後からなるほどと理解出来る。
解説者達も凄いと思ってしまうが、彼らが当事者だとするとAIが示すような最善手を常に打てるかどうかわからないので、
挑戦者になれないことも納得がいく。
AIが導入されてから一層先手が有利になった様に思われる。
両棋士ともに事前に戦法を検討して来るのだが、これで勝てるという戦法を先に繰り出すのは基本的に先手であるから有利なのだろう。
今回は過去2回しかない戦型で始まったがいずれも先手が勝利しているものであった。
駒組みを進め先に突っかけたのは後手の藤井王位であった。それが40手目の5六歩、
そして49手目の5九角で未知の世界に入っていく。
最大の分岐点は豊島九段の59手目であった。
3時間3分の長考の末に打たれたのはAI2番手候補の5三角成であった。
ここでAI評価で藤井王位57%と優位に立ったのである。
その後はひょっとしたら逆転というリスクを背負いながら藤井王位の攻めは続く。
そしてあと1歩があれば詰むというところの90手目に飛車を捨てて歩を取り馬取りとする。
馬を捕られては攻め手を失うため豊島九段は取らざるを得ない。
正に一歩千金の価値がある歩を手に入れ84手で豊島九段を投了に追い込んだのである。
終局後に感じたことは2つある。
先ず豊島九段。3時間3分かけた運命の59手目について失敗だとは思っていないし、
どこで劣勢になったのかもわからないとのコメントを残し、
自分に対する怒りのような凄みを感じる。第4局で見せるであろうあっと驚くような妙手を期待したい。
次は藤井王位だが、59手目以降AIの示す最善手を外した事はなかったのではないだろうか?
苦痛の表情を浮かべながら考える後に打つのは最善手ばかり。演技して豊島九段の
気が緩むのを誘っているかのようであった。
読みの深さは底が知れないと感じた。