フランスが誇るシャンパンが奥深い!
フランスが誇るシャンパンが奥深い!
世界的に3気圧以上の炭酸ガスが含まれたワインをスパークリングワイン(発泡性ワイン)と称するのは多くの方が知っています。(3気圧以下は弱発泡性ワインと称します)。
スパークリングワインの発祥がどこかは定かではないですが、最も有名なのが、17世紀のシャンパーニュ地方です。我々もスパークリングワインと言えば、即シャンパンを思い浮かべる位有名なのです。そのシャンパンについて基礎的な内容を掲載します。
① スパークリングワインの製法種類:
瓶内発酵の伝統的製法(シャンパーニュ方式)、樽内発酵製法、人工的吹き込み製法があります。
② フランスでの名称:
シャンパン:
フランスのシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏で生産されたブドウのみを使い、瓶内二次発酵を行った上で、封緘後15か月以上の熟成を経た伝統的製法のスパークリングワインです。元となるブドウは2010年11月22日の政令による定義に基づき、シャンパーニュ地方で造られた7つのブドウ品種、(黒ブドウはピノ・ノワールとムニエ、白ブドウはシャルドネ、ピノ・グリ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、アルバンヌに限られています。国家としてシャンパンを保護している感じです。
クレマン:
シャンパーニュ以外の地域で、シャンパンと同様の製法で造られた発泡性ワインです。芳香の強い白ワインの産地であるアルザス地方の発泡性ワインであるクレマン・ダルザス 等が有名です。
ヴァン ムスー:
ムスーとは、「泡」の意味です。AOC(産地呼称統制法)に指定されているものから、テーブルワインまで各種あります。製法は様々な方式で作られています。
ペティヤン :
フランス語で「ぱちぱちはねる」の意味で、弱発泡性のワインのことです。
③ シャンパーニュ地方式の詳細:
圧搾:
最初に圧搾した10樽は「La Cuvee(一番搾り)」と呼ばれ、果実味が
豊富で透明度が高い果汁になります。
発酵:
発酵は通常の白ワインと同様に行われます。
混合:
最初のオリ引きの後、畑・年度・種類の違うワインを混合します。
これをアッサンブラージュと言い、この調合が、ワインメーカーの秘伝技術と
なります。その後、ワインを再び濾過し、ショ糖とシャンパーニュ酵母を混ぜた
液体を加えて瓶詰めします。
第二次発酵:
地下のカーヴに寝かせたワインは瓶内でゆっくりと発酵し、アルコールと
炭酸ガスと、オリを生成します。
炭酸ガスは瓶内でワインの中に溶け込んで、2~3年で複雑で繊細な泡となります。
動瓶・オリ抜き:
冷凍槽に瓶のネック部分だけを浸して、オリの部分を凍らせて抜栓すると、
中のガス圧で凍った部分だけが飛び出し、オリが除去できます。
リキュール添加・栓打ち:
オリを除いた分量、同じタイプのワイン原酒の古酒、ショ糖、コニャック、甘味づけのリキュールを加えます。このときのショ糖の量によって、シャンパーニュのタイプ(辛口~甘口)が決まります。最後にコルク栓をして、出来上がりです。
ほぼ同様の工程を経たフランスの「クレマン」や他国のスパークリングワインに、
スペインの「カヴァ」、イタリアの「スプマンテ」)、ドイツの「ゼクト」等がありますが、
シャンパンはその選定基準の厳しさと熟成期間の長さにおいて突出しています。
④ 最初のシャンパン:
時代は17世紀に遡ります。
シャンパーニュ地方はパリの北東、北緯50度に位置していてとても寒い地域です。
オーヴィレール修道院の修道士であったドン・ピエール・ペリニヨンドン・ペリニヨンは29歳でワイン食料貯蔵庫長になりました。シャンパーニュ地方は元々赤いのワインの産地で色のうすい赤ワインが作られていました。彼は赤ワインではブルゴーニュ地方に勝てないと思い、白ワインの生産を作ろうとしたのです。その結果、黒ぶどうを軽くしぼることで、皮の赤い色が液体に入らないことを発見します。これが、赤いブドウから出来る白ワインの誕生でした。当時は温度管理が出来ない時代でしたから、17世紀、シャンパーニュ地方では樽に入れて保管されているワインに、ときおり泡が発生するのが悩みでした。時を同じくして、ガラス瓶が登場し始め、シャンパーニュ地方のワインを樽に入ったワインからガラス瓶に移し替えてイギリスに輸出するされはじめました。 そうすると、ドン・ペリニオンの思いに反して泡の入った白ワインの華やかさがイギリスの貴族階級の間でもてはやされるようになりました。現在のようなきめ細かな泡になるのはまだまだ先ですが、こうして現在のシャンパンの原型となるスパークリングワインが偶然完成したのです。
彼が他界した後、オーヴィレール修道院とぶどう畑をモエ・エ・シャンドン社が所有し、ドン・ペリニヨンの商標権を取得しました。
そして、ドン・ペリニヨンの名前を冠したシャンパーニュを世に出したのです。
⑤ ラベルに記載されている記号や用語:
RM(レコルタン マニピュラン):自社のブドウだけで製造する会社です。
CM(コーペラティヴ ド マニピュラシオン):シャンパーニュ生産者の協同組合です。
RC(レコルタン コーペラトゥール):ブドウ栽培者の協同組合です。
SRs(ソシエテ ド レコルタン):同族のブドウ栽培者によって構成される会社です。
Non millésimé(ノン・ミレジメ):ヴィンテージ(収穫年)がラベルに記載が無く、様々
な年のワインをブレンドされ造られています。Non Vintage(ノン ヴィンテージ)とも言
われます。アッサンブラージュのため味が安定している、最も基本的なシャンパンです。
Millésimé(ミレジメ):ヴィンテージが記載され、主にその年のワインで構成されます(他
の年のワインも20%ブレンド可能)。良年のみ造られるので、Vintage Champagne(ヴィ
ンテージ・シャンパン)とも言われます。ノン・ミレジメに較べて一般に高価ですが、ブレ
ンドを前提とするシャンパンにおいては異色です。
Rosé Champagne(ロゼ・シャンパン): 果皮から汁を出さないように搾汁した後、一定期
間果汁に果皮をつけ込むことで淡いピンク色を付けた(セニエ方式)ものです。ブレンド時
に赤ワインを混ぜる場合もあります。
Blanc de Blancs(ブラン・ド・ブラン):規定の白葡萄(シャルドネ)のみで造られたシャ
ンパンです。ブレンドを前提としたシャンパンの中では異色の存在です。
Blanc de Noirs(ブラン・ド・ノワール):規定の黒葡萄(ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)
のみで造られたシャンパンです。皮を使用しないため色はつきません。ブラン・ド・ブラン
と同じく、ブレンドを前提としたシャンパンの中では異色の存在です。
Grand Cru(グラン・クリュ):ラベルに記載されている場合、格付Cru(畑)100%の
畑の葡萄だけで造られたシャンパンです。
Premier Cru(プルミエ・クリュ):ラベルに記載されている場合、格付Cru90~99%
の畑の葡萄だけで造られたシャンパンです。
⑥ シャンパンの7大ブランド:
ドン・ペリニヨン:
「ドンペリ」という略称で親しまれ、特別・豪華という印象が強い人気のシャンパンです。
通常の熟成期間を経た「白」から、色鮮やかなピンクのラベルが特徴の「ロゼ」、金色のラベルをした熟成期間の長い「ゴールド」、通常の熟成よりさらに長い熟成期間を経た「エノテーク」、最高級の「P2」などその種類も豊富です。
クリュッグ:
フランス北部の街ランスに拠点を構えているシャンパンメーカーです。
数あるシャンパンの中でも最高級とされ、品質に対する真摯なこだわりから「シャンパンの帝王」と称されています。「クリュッグ」の愛飲家は「クリュギスト」と呼ばれていて、日本にも多くの愛好家がいます。
ベーシックな「グランド・キュヴェ」や、ベースワインにシャンパーニュで作られた赤ワインをブレンドするというアッサンブラージュ法で醸造された「ロゼ」、メニル・シュール・オジェ村の単一畑から作られた「クロデュメニル」などがあります。
サロン:
優れているヴィンテージのみしか作らないため、「幻のシャンパーニュ」と呼ばれています。。
葡萄の出来に納得がいかない年にはシャンパンを作らないということもあり、作ったとしてもおよそ10年の熟成期間を経てから市場に出てきます。
そのため、これまでに誕生してきたヴィンテージも他のメーカーのシャンパンと比べると少なく、希少性が高いのが特徴となっています。
ルイ・ロデレール:
1776年に創業された大変歴史のあるシャンパン・メゾンです。
1年当り約260万本と生産量はそれほど多くないのですが、200ヘクタールに及ぶ広大な自社畑から80%の葡萄をまかなっていて、世界中で高い評価を受ける世界最高峰のシャンパン製造会社です。
世界最高級シャンパンである「クリスタル・ブリュット」や、スタンダードな「ブリュット・プルミエ」、フルーティな香りとキレのある甘みが特徴の「ブリュット・ロゼ」などがあります。
ヴーヴ・クリコ:
人の目を引くオレンジ色のラベルが印象的なフランスの老舗シャンパン・メゾンです。
シャンパン造りに情熱を注いでいたフランソワ・クリコ氏が逝去した後、未亡人となった妻「ヴーヴ・クリコ」の功績によって、その名を世界に広めフランスを代表するシャンパン・メゾンとしての礎を築きました。
英国王室御用達にも選ばれている評価の高いシャンパンで、さわやかさとキリッとしたのみ応えが味わえる定番の「イエローラベル」や、サーモンピンクのラベルが可愛らしいロゼシャンパン「ローズラベル」などがあります。
ペリエ・ジュエ:
美しいデザインのボトルに繊細さとエレガントさを併せ持った味わいが特徴で、名だたる著名人やセレブ達を魅了してきたシャンパン・メゾンです。品質とこだわりを持ち辛口シャンパンのパイオニア的な存在として知られています。
白のアネモネの花が描かれたボトルが特徴的な高級シャンパン「ベルエポック」や、ノンビンテージとして変わらない味を提供する「グラン ブリュット」、フルーティな香りが楽しめる「ブラゾン ロゼ」などがあります。
モエ・エ・シャンドン:
普段シャンパンを飲まないという人にも名が知れているほどの世界有数のシャンパン製造会社です。
そのネームバリューの高さから、結婚式の披露宴で振舞わることが多く、比較的リーズナブルな金額からプレゼント用としても人気が高い商品です。
主力商品の「ブリュット アンペリアル」のほか、サーモン・ピンクのラベルが特徴の「ロゼ アンペリアル」、やや甘口な「ネクター アンペリアル」、夏季限定「アイス アンペリアル」などがあります。
⑦ LVMH:
LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)を知っていますか?
世界最大のファッション業界大手企業体として、フランスのパリを本拠地とするコングロマリットです。
驚くことに、この企業が上記シャンパンブランドの中で、ドン・ペリィニョン、クリュッグ、ヴーヴ・クリコ、モエ・シャンドンを保有しています!