自衛隊と国防軍・専守防衛について!
自衛隊と国防軍・専守防衛について!
安部政権の最後の課題とも言える憲法改正について、第5代統合幕僚長の河野氏と同志社大学法学部教授の村田氏が、自衛隊と国防軍・専守防衛のテーマについて議論を行っています。その記事を読んで、これらのテーマについては自分もある程度の認識を持っておかなければならないと感じました。是非論は別にして、認識しておくべき内容と思える点を掲載しておきます。今後、国会でも議論が進んで行き、国民投票の事態も起こる可能性がありますので、その時の参考になるのではないでしょうか?
① 自衛隊と国防軍
日本の自衛隊と普通の軍隊(国防軍)は考え方に違いがあるそうです。自衛隊は行使可能なものを列挙して、それ以外は原則禁止する考え方でポジティブ・リストと称します。理由は自衛隊が警察予備隊の系譜にあり、権力を行使する相手が国民であるため、法律で縛る必要があるからです。一方普通の軍隊(国防軍)は原則として規制がない中で、例外として禁止するものを規定する考え方でネガティブ・リストと称します。これは国際法を遵守するために、これだけはやってはいけないという前提に立っているからです。日本と諸外国のいわゆる軍隊では根本的な法体系が違うことが解ります。
安部政権がこだわる第9条への自衛隊明記案にお二人とも賛成はしていますが、河野氏は、本来は憲法に国防軍を規定して自衛隊法を廃止し、国防軍法をつくってネガティブ・リストに変更しなければいけないと指摘していますし、村田氏は、現代の様にサイバー攻撃などが起こりうる状況の中で、個別的自衛権と集団的自衛権を線引きするのはほとんど困難であることが典型的な例であるように、憲法には時代にそぐわない条項が少なくないことを指摘しています。
② 専守防衛
憲法には記されていませんが、日本の防衛政策の基本は専守防衛であることが謳われています。専守防衛は突き詰めれば本土決戦を意味するので、万が一戦闘になった場合、戦術的に専守防衛で自衛隊の行動を縛ることは、かえって国民を危険にさらしかねないと河野氏は指摘しています。費用面でも攻撃兵器よりも防御兵器のほうが莫大な金額がかかるそうです。村田氏は、わが国が、アメリカに一定の発言力をもち、中国やロシアをある程度牽制できる力を保ち、大国としてのステータスを維持しながら生きていこうとするのか?それとも、大国間の権力闘争から身を引いて、小国としてじり貧ながらも幸せに暮らしていくのか?我々の覚悟が問われる時代になっていると指摘しています。