マラソンは何故42.195kmなのか?
マラソンは何故42.195kmなのか?
現在のマラソンの世界記録はケニアのキプチョゲが出した2時間1分39秒ですが、10月12日にオーストリア・ウイーンのプラーター公園に設置された特設コースで、総勢41人のペースメーカーとスピードを設定する先導車にともなわれ1時間59分40秒(非公式)を記録して話題になりました。昨日は、来年の東京オリンピックにおけるマラソン会場を東京から札幌に変更する意向をIOCが発表したことで話題になっています。先日のドーハで行われた世界選手権で途中棄権が多数出たことが問題視されたようです。
これほど知れ渡っているマラソンの距離が何故42.195kmという中途半端な距離なのか、知っている人はあまりいないかも知れません?
そもそもマラソンという名は、ヘロドトスの『歴史』によると、紀元前450年9月12日にアテナイの名将ミルティアデス(別名アルテミシア)がマラトンに上陸したペルシアの大軍を撃退したマラトンの戦いに起因します。勝利の良い知らせ(エウアンゲリオン)をアテナイの元老院に伝えるためにフィディピディスという兵士がマラトンから約40km離れたアテネまで駆け抜け、「我勝てり」と告げた後に力尽きて息を引き取ったと言われています。
近代マラソンは1896年にアテネで行われた第1回オリンピックで開催されました。歴史に合わせてマラトンからアテネのパナシナイコ競技場までの36.75kmを走ったとされています。マラソンの距離は約40kmという設定で最初から距離が確定していたわけではありません。正式に距離が定まったのは第8回オリンピックでしたが、それまでの距離の経緯は次の様になります。
第1回(1896年):36.75km
第2回(1900年):40.26km
第3回(1904年):40km
第4回(1908年):42.195km
第5回(1912年):40.2km
第6回(1916年):オリンピックが中止
第7回(1920年):42.75km
第8回(1924年):42.195km
上記の前提を踏まえた上で本題の何故42.195kmかということですが、答えは第4回大会の逸話に由来しています。第4回は当初国王の住むウィンザー城からホワイトシティ・スタジアムまでの26マイル(41.843km)で行われる予定でしたが、時の王妃アレクサンドラが「スタート地点は宮殿の庭で、ゴール地点は競技場のボックス席の前に」と注文したために半端な数字の距離(385ヤード)だけ延長されたというのです。そしてこの大会では、トップを走っていたイタリアのピエトリ選手が競技場をゴールと勘違いして、そこで倒れてしまい、その後大会役員の助力でゴールしたので後で失格になったという悲劇が残っています。
第4回での事態を貴重と見たためか分かりませんが、第8回オリンピックでマラソンの距離を統一することにし、42.195km(26マイル385ヤード)と定めました。
人間のすることは全てが論理的ではなく、このように、偶然の賜もあるというのが面白いですね!