ブラックホール撮影までの軌跡!
ブラックホール撮影までの軌跡!
NHK・BSが大変勉強になるTV番組を提供してくれた。
事の始まりはアインシュタインの一般相対性理論であった。
アインシュタインは重力は時空の歪みを変える。歪みが強すぎると光すら出てこれないと予言した。
しかし、彼はブラックホールの存在を信じてはいなかった。
インドのセカール博士が広がる銀河(広がるガス)の中心にある白色矮星に注目し、重力が熱膨張に優り、
例えば太陽が地球ほどに縮まったものが白色矮星だと唱えた。
1950年頃米国のオッペンハイマー博士がそれを数学で証明したが、前提が完全な球形の星だったので誰も信じなかった。
1965年に英国のペンローズ博士(ノーベル物理学賞受賞)が画像の図解を含め数学的に事象の地平線(光が出られなくなる状態)と特異点の存在を証明した。
これが宇宙を理解する大きな手がかりとなった。ホーキング博士はこの証明で宇宙には時空が破綻することで始まりがある事を証明した。
ビッグバンである。
ブラックホールの存在が世界に認められたのは1971年。
米国のウルフX選観測衛星によって7500光年離れたはくちょう座の首の一部に太陽質量の30倍もある星が発見され、
さらにこの星がわずか5.6日で公転している事が確認された。
これは連星という現象で相対する太陽の10倍ほどの星があるはずだが見えないのである。
こんな大きい質量の星が高速で廻るということは中心にはブラックホールしかあり得ないということで
世界で初めてブラックホール「X-1」と認定された。
さらに1995年、日本の野辺山観測所の中井技師が2100万光年離れたM106銀河から来るX線を8つの電波分光計で計測したところ
円盤状に複数の星が公転していることが分かり、それをNATUREに公表した。
この記事によりほとんどの銀河中枢にはブラックホールが潜んでいると信じられるようになった。
次の課題はブラックホールがあるかを証明することであった。
地球が属する天の川のブラックホール発見に挑戦しノーベル物理学受賞を果たしたのが米国のゲズ教授グループと
ドイツのゲンツェル教授グループであった。
太陽質量の10倍もある星が秒速5000kmで16年かけて公転している対象はブラックホール以外考えられないという結論に達したのである。
残る課題で一番注目されたのはブラックホールの可視化であった。
米国のドールマン博士を代表とするブラックホール観測プロジェクトが2011年に組織された。
対象は6000万光年離れたM87銀河のブラックホールである。
地球から月に置いたテニスボールを撮る程の精密さが必要で世界にある8台(ハワイ2台、カリフォルニア1台、アリゾナ1台、メキシコ1台、
スペイン1台、チリ1台、南極1台)の電波望遠鏡を繋いで撮影する技術が求められた。
準備に6年かかり2017年に5日間の観測が行われた。各電波望遠鏡の焦点を統一するのに1年以上の時間が必要であったが、
ついに2019年にブラックホールが公開されたのである。
直径は400億km、明るい場所の温度は60億度で太陽の400倍ほどもある。
ブラックホールの周囲で下部が明るいのは公転している星が縦に回転していて望遠鏡に向かってくるのが下部になっていると想像されている。
しかし、これで謎が全て解けたわけでは無い。
何故銀河にIブラックホールが存在するのか、事象の地平線を啓太物質はどうなるのか、ブラックホールが特異点W超えたら何が怒るのか、
またはあるのか等、謎は深まっているとも言えよう!