カテゴリ: 科学、自然
公開日:2019年07月18日(木)
バクテリアががん細胞を完全破壊?
アメリカのコロンビア大学研究チームがすごいことに挑戦しています。
バクテリアを使って完全にがん細胞を破壊しようとしているのです。
鍵はCD47という遺伝子にあります。通常、CD47は健康な細胞にくっついて「私を食べないで」というようなサインを出しているので、死んだ細胞などを食べるマクロファージと呼ばれる免疫細胞から健康な細胞を守っています。ところが、がん細胞が突然変異によってCD47を作り出し、自分自身をマクロファージから逃れさせて成長することがわかっていました。それ故、この偽のCD47を免疫細胞に攻撃させる方法を開発して、臨床試験も始まっていたのですが、攻撃する交代の分子が大きすぎて腫瘍の中に入り込めませんでした。
今回のコロンビア大学は、抗体の代わりにバクテリアを使って攻撃することを試みています。
500万個の非病原性バクテリアに、抗体よりもっと小さな単鎖抗体を生成する遺伝子を注入し、マウスの腫瘍に注射しました。その結果、バクテリアは腫瘍内で大量の単鎖抗体を吐き出し、CD47によるがん細胞の「私を食べないでサイン」のカムフラージュを剥がすことに成功しました。その後、Tリンパ球を活性化させて腫瘍を小さくし、最終的には完全に除去できたのだそうです。
マウスでの成功がそのまま人間に応用できるかどうかはまだわかりませんが、以前掲載した光免疫療法よりすごいことかもしれません。今後の推移に注目しましょう!