カテゴリ: 科学、自然
公開日:2019年06月15日(土)
デッドゾーン(死の海域)が広がっている!
デッドゾーンとは魚が生息できないような低酸素海域のことです。その根本原因は季節的に降る大雨です。アメリカのカリフォルニア州では毎年大雨が降りミシシッピ川の河口辺りにデッドゾーンが発生するのですが、今年は降雨量が多いせいで、観測史上最大の規模に達する見込みだそうです。メキシコ湾の大陸棚に広がるでデッドゾーンの大きさは東京都の10倍にも達すると予測されています。
水量が増えると海中の酸素量は薄まります。酸素の濃度が2ppmを下回ると、移動できるエビ、カニ、魚はすべて逃げ出してしまいます。移動することができず、海底の沈降物の中で暮らしている動物は、ほぼ全滅する可能性があるそうです。さらに問題なのは、大雨で陸地の肥料や下水に含まれる養分がミシシッピ川に流れ込むことです。淡水は海水よりも軽いので、河口から海に出た水は表層近くにたまって循環を妨げるます。養分を多く含む淡水層では藻類が大発生し、この藻類が死んで分解される際に大量の酸素が消費されます。デッドゾーンが増えるとエビや魚がいなくなり、漁業で生計を立てている住民たちが大打撃を受けます。
現在、世界最大のデッドゾーンはヨーロッパのバルト海です。そこでは、漁業が打撃を受けているだけでなく、ほとんどの海洋性動物が生存できない状態になっているそうです。
大量の雨という自然現象を人類が止めることは至難の業なので、アメリカの科学者たちや農業団体が連携を取って、肥料の流失を止めるべくさまざまな対策を試みているそうです。何とかして、デッドゾーンが縮小してくれると良いのですが!