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日本の通信販売・集音器市場はどれくらい?

カテゴリ: 補聴器最新情報 公開日:2020年01月09日(木)

日本の通信販売・集音器市場はどれくらい?

日本の補聴器市場の規模を現わす統計資料は四半期ごとに日本補聴器工業会が発表するしかありません。それによると2019年1月~12月で待望の60万台に到達しそうです。

この数字を基に補聴器使用率を計算すると日本人は約13%しか補聴器を使用していないことになり、欧米諸国に比べて以上に低いと言われていて、補聴器業界の最大課題の一つになっています。しかし、他の国には無い形態として、日本には集音器(一部は補聴器)の通信販売市場(以下通販市場)があります。ところが、この通販市場については、統計資料が全くないので販売台数規模が全く判っていないのです。数社の補聴器メーカーが直接・間接的に通販市場に製品を出しているのは判っていますが、何台出しているかの申告が無いようで、数字としてははっきりわかりません。そのような状況下、YAHOOニュースの広告にSHOP JAPANが掲載している「楽ちんヒアリング」という充電式集音器が出ていました。実は、この広告内容に集音器(一部補聴器)の通販市場規模を推測するヒントがあったのです。

年末にこの広告を見たときは、2013年5月1日~2019年7月31日までの期間で100万台が売れたと書いてありました。一方、昨日同じ広告を見たら、期間が変わっていて、2017年3月1日~2019年8月31日の間、4分に1台の販売実績と誇らしげに書いてありました。後者の実績が本当だとすると、この集音器だけで年間約13万台販売されていることになります。既存の通信販売業者に加え、最近はアマゾン、YAHOO、楽天などの業者も盛んに集音器(一部補聴器)を販売リストに掲載しています。どの業者も掲載していることはある程度販売できていることの証明でもあります。以前バーナフォンに勤めていた時代に、名前は控えますが、某通信販売者の方にこの市場規模について伺ったことがあり、その時点で年間2百万台以上と言われていました。当時、補聴器の出荷台数が年間50万台の前半だった状況下、その数字の大きさに驚き、逆に補聴器はこれから大きく伸びる可能性があると感じたものです。これらの情報を総合すると、日本の通販・集音器(一部補聴器)市場は2百万台をはるかに超えている可能性が高く、多くの日本人が聞こえの問題を感じて実際に行動を起こしていることになります!

「楽ちんヒアリング」は中国製の耳かけ型集音器で、充電式、軽量小型、低価格が特徴の様です。1月1日9:59分までがキャンペーン期間で、1台が通常14860円(税抜き)を9900円、2台が通常29720円(税抜き)を17820円で販売しているので、販売台数がさらに増えていることが想像できます。

補聴器と集音器の違いについてお復習いをしておくと、補聴器は厚生労働省管轄の、薬事法に基づいた医療機器で、消費税がかかりません。さらに、厳格な審査による製造販売業の許可が義務付けられていて、販売するときは製品表示の際に許可番号を掲載しなければなりません。集音器は経済産業省の管轄で、薬事法とは関係のない、いわゆる物販の範疇ですから消費税がかかります。

性能の違いで比較すると、最近の補聴器はほとんどがデジタル製品になっています。デジタル製品の最大の利点は使用する方の聴力を補聴器にデータとして送り込み、それから補聴器の状態を設定することにあります。別の言い方をすると、使う方の聞こえの状態に補聴器の状態を合わせることが出来ると言うことです。

一方の集音器は大半が軽度難聴を対象とすると断りを入れてますが、出荷するメーカーや販売業者が一番普遍的と思う音量を設定して出荷します。出荷後の音量調節は全体を上げたり下げたりするだけです。言い換えると、使用する方が、集音器に設定された音量に自分の聞こえを合わせなければならないと言うことですが、耳にそのような調節機能は備わっていません。低い音だけが、または、高い音だけが聞こえづらい方等、聞こえは千差万別なので、十分な満足度を得る確率は極めて低いように思います。

集音器と比較した時の補聴器の課題はいくつかありますが、集音器の販売が多いことからすると価格が大きな課題だと思います。この点については最大の補聴器販売国であるアメリカに大きな動きがあります。これまで補聴器のOTC販売(薬局などを経由するいわゆる既製品販売)はご法度だったのですが、議会がOTC販売を認める決定を下し、現在FDA(食品・医薬品管理局)がOTC販売の規則や方法について検討をしています。順調に検討が進めば、今年の後半~来年の前半にOTC販売の全容が見えてくるでしょう。OTC販売がアメリカで動き出すと、その流れは日本にもすぐにやってきますから、集音器ではなく補聴器をOTCでも通販でももっと安く買える様になるのではないでしょうか?但し、OTC販売や通販は購入後の補聴器調整に限界があるはずなので、優秀な補聴器販売店の存在は欠かせず、逆に存在価値が高まる可能性を秘めています。