マルクス・アウレリウスの自省録!
マルクス・アウレリウスの自省録!
マルクス・アウレリウスは哲学者ではなく第16代ローマ皇帝です。
170~180年頃ゲルマン人との戦いであるマルコマンニ戦争途上に自分の為に書きまとめたものらしいですが、
その後世界で最も多く読まれた古典名著です。
底に書かれている彼の思想をまとめると次の様になります。
・人は、肉体と魂(息)と英知から成り立っている。
・英知が本来の自己であり、神の知性の1片である。
・世界は変化する。この変化なくして何も生まれない。
・私たちが生まれてきたのは、善をなし、互いに協力するためである。
・自分の運命を愛し、この運命をなごやかに受け入れよ。
彼は哲学者エピクロスの思想に強く影響を受けました。
ストア派はギリシアのゼノンが開き、エピクロスはストア派の哲学者です。
その中心にあるのは倫理学で理想的な賢者になることを目指していることです。
しかしその時代「賢者」とは世間の事柄から全く自由な人のことをいい、現在の解釈とはちょっと異なる様です。
理想の賢者状態にいたれば、不安定な情動から離れ去って、理性(ロゴス)だけが働く
アパティア(心の平穏・不動心)に達するそうです。
現代英語に「ストイック」という言葉があり「禁欲的」と訳されますが、
この言葉はもともとストア派哲学の理想から来ていると言われています。
自分が直面す災難や事故に対して善悪を判断する際、自分が自由に選んだものかどうかを見極め、
そうでないものには触れないことにする考え方です。
19世紀の政治哲学者見るはこの自省録を「古代精神の最高の倫理的所産」と評した様ですが、
社会との接点が複雑多角化している現在ではこの思想は単なる自己中心思想と受け止められてしまうように思います。